That is HER question
2017年4月10日 演劇
池袋の東京芸術劇場まで『ハムレット』を見に行ってきました。
内野聖陽さん主演というのはもちろんですが
オフィーリアが貫地谷しほりというだけで
『風林火山』バカとしては狂喜乱舞
更に共演陣に北村有起哉、山口馬木也その他豪華キャスト
にいたっては「店主を殺す気か!?」というわけで
嬉々としてチケットを申込み、当日は一番のおめかしというわけで
せっせとキモノなんて着込んじゃって初日に馳せ参じたわけです
(ちょうど休刊日で確実に休みだったものだから)
内野さんの舞台は『ビッグ・フェラー』以来だから3年ぶりですか
高い席かオペラグラス持参でなければ表情までは見えないのですが
そこはさすが新劇出身、朗々たる美声とせりふ回しだけでも
充分お腹いっぱいです【笑】 店主の好みのタイプって
要約すると、一つは「声が良い」だからなぁw
それに、映像と違って同じ空間にいるってだけで贅沢ですし
あいにく見えないご尊顔は、パンフレットを眺めるだけで涎が……
北村さんは、ドラマとかではボソボソって感じの芝居ですが
舞台では(当然かもしれませんが)けっこう通る声だったのが意外
山口さんも地味に店主の好きな役者さんなのですけど
わりと脇役のロズギルのロズってのが無駄遣い感あふれるような【苦笑】
ミュージカルファンにとっては今拓哉さんのギルってのもそうでしょうけどw
さて、初日を見てすぐの感想なので
演出などはネタバレになるので詳しくは書けないのが苦しいところ。
でも……これはどの公演を見てもいつも思うことなんですけど
風林火山でミツやんがヒロインじゃなかったのと同じくらい
ハムレットではオフィーリアはヒロインとは言えない んですよね【泣】
ミツはドラマ独自の登場人物で、公式ヒロインは由布姫
でも店主としてはそれは認めていないので
最終回の最後の最後、ミツの台詞で終わったのが一番の救いでした。
オフィーリアで卒論を書いたくらい思い入れのあるキャラクターなのですが
彼女は、仮にハムレットの恋心が本気だったとしても
彼の苦悩を分かち合うことができないという時点で
ヒロインたりえないんですよね。だったらむしろ
母親のガートルードの方がよっぽどヒロインらしいですし
性別不問だったらむしろホレイショーの方が【爆】
生きてるうちは親父にいいように利用されるばかりで
オフィーリア自身の意思も幸福もないがしろにされっぱなしで
死んだら死んだで、兄貴と恋人が
「いや、俺の方が彼女をより愛してたんだ!」
と張り合う材料にされて……愛してたっていうんだったら
生きてるうちにその4万分の一も
優しい言葉をかけてたかっていうんだ【号泣】
確かに彼女はその理不尽さを愛でるためのキャラかもしれませんけど
何かしら彼女の生と死に意味を与えてくれるような
演出と解釈を一度劇場で見てみたいものです。
余談ですけど、店主が内野さんをどれだけ好きかというのは
ここの読者ならご存知のとおりと思いますが
貫地谷ちゃんも、「ちゃん」付けで呼ぶくらい
女優にあまり興味の無い店主にしては珍しく
好きな女優さんではあります。「ちりとてちん」好きでした~♪
そんなお二人の顔合わせというのに、また悲恋カップルってのもなぁ……
なので、今度は幸せな二人が見たい!
CMでもいいからさ、夫婦役とかでw
いやいっそ、リアルで付き合っちゃってもいいからさぁ
内野聖陽さん主演というのはもちろんですが
オフィーリアが貫地谷しほりというだけで
『風林火山』バカとしては狂喜乱舞
更に共演陣に北村有起哉、山口馬木也その他豪華キャスト
にいたっては「店主を殺す気か!?」というわけで
嬉々としてチケットを申込み、当日は一番のおめかしというわけで
せっせとキモノなんて着込んじゃって初日に馳せ参じたわけです
(ちょうど休刊日で確実に休みだったものだから)
内野さんの舞台は『ビッグ・フェラー』以来だから3年ぶりですか
高い席かオペラグラス持参でなければ表情までは見えないのですが
そこはさすが新劇出身、朗々たる美声とせりふ回しだけでも
充分お腹いっぱいです【笑】 店主の好みのタイプって
要約すると、一つは「声が良い」だからなぁw
それに、映像と違って同じ空間にいるってだけで贅沢ですし
あいにく見えないご尊顔は、パンフレットを眺めるだけで涎が……
北村さんは、ドラマとかではボソボソって感じの芝居ですが
舞台では(当然かもしれませんが)けっこう通る声だったのが意外
山口さんも地味に店主の好きな役者さんなのですけど
わりと脇役のロズギルのロズってのが無駄遣い感あふれるような【苦笑】
ミュージカルファンにとっては今拓哉さんのギルってのもそうでしょうけどw
さて、初日を見てすぐの感想なので
演出などはネタバレになるので詳しくは書けないのが苦しいところ。
でも……これはどの公演を見てもいつも思うことなんですけど
風林火山でミツやんがヒロインじゃなかったのと同じくらい
ハムレットではオフィーリアはヒロインとは言えない んですよね【泣】
ミツはドラマ独自の登場人物で、公式ヒロインは由布姫
でも店主としてはそれは認めていないので
最終回の最後の最後、ミツの台詞で終わったのが一番の救いでした。
オフィーリアで卒論を書いたくらい思い入れのあるキャラクターなのですが
彼女は、仮にハムレットの恋心が本気だったとしても
彼の苦悩を分かち合うことができないという時点で
ヒロインたりえないんですよね。だったらむしろ
母親のガートルードの方がよっぽどヒロインらしいですし
性別不問だったらむしろホレイショーの方が【爆】
生きてるうちは親父にいいように利用されるばかりで
オフィーリア自身の意思も幸福もないがしろにされっぱなしで
死んだら死んだで、兄貴と恋人が
「いや、俺の方が彼女をより愛してたんだ!」
と張り合う材料にされて……愛してたっていうんだったら
生きてるうちにその4万分の一も
優しい言葉をかけてたかっていうんだ【号泣】
確かに彼女はその理不尽さを愛でるためのキャラかもしれませんけど
何かしら彼女の生と死に意味を与えてくれるような
演出と解釈を一度劇場で見てみたいものです。
余談ですけど、店主が内野さんをどれだけ好きかというのは
ここの読者ならご存知のとおりと思いますが
貫地谷ちゃんも、「ちゃん」付けで呼ぶくらい
女優にあまり興味の無い店主にしては珍しく
好きな女優さんではあります。「ちりとてちん」好きでした~♪
そんなお二人の顔合わせというのに、また悲恋カップルってのもなぁ……
なので、今度は幸せな二人が見たい!
CMでもいいからさ、夫婦役とかでw
いやいっそ、リアルで付き合っちゃってもいいからさぁ
定点観測up済みです。
更新したらこっちで告知するよう心掛けてはいるのですが
思っていたより長くなってしまい、力尽きました【泣】
でもまぁ「更新しました」とだけ載せておいて
本記はまた後から書けばいいだけなんですけどね。
ということである意味ほぼ余談。
会社最寄りの駅に『大和三銃士』のポスターが
でかでかと、それも何枚も貼られていて
ただでさえ三銃士好きの店主、ついつい目が行ってしまいます。
なんとなーくポスターの面々から誰が原作でいうところの
誰かというのは見当がつくところなのですが、
そもそもあの三銃士を日本を舞台に置き換えたとあらば
いったいどこのどの時代の(衣装からだいたいは判るが)
どういう設定かというだけでも興味津々。
そういうときは詳しくはwebで、というのが基本【笑】
なんですが――やってくれるじゃないか松竹さんよ
映画の公式サイトのようにFLASHなんか豪華に使った感じのを
想像していたのですが、かなり掻い摘んだあらすじとキャストだけ。
舞台としては、大坂の陣前夜というべき頃の豊臣方陣営が
イコール、ルイ13世治世のフランスというところ。
そして「三銃士」に当たるのが
花鶏織部(あとり・おりべ):中村獅童
花輪嵐(はなわ・あらし):濵田 崇裕
蓬莱万十郎(ほうらい・まんじゅうろう):藤井隆
名前の響きで誰が誰だか判りそうなものですが……
どう見ても獅童がポルトスだろ【爆】
アラミスがジャニというのは超妥当、どの映像化でも
たいてい美男子ですので。それが高じてアニメでは男装の麗人でしたがw
でもって、アニメ三銃士上がりとしてはどーも藤井隆がアトスっぽい【苦笑】
いや、ポルトスは巨漢・怪力の豪傑ってのが共通設定だろ。
まぁでも、アニメでこそ影が薄かったですが(神谷さんだったのに……)
原作じゃダルと一番仲良しだったのはアトス兄ぃでしたしね
だから見間違えるはずがないのですが。
ちなみにリシュリューに相当するのが片桐且元
確かに豊臣目線で見れば徳川方に内通していた裏切り者ですが
勝者が総ての後世からしてみれば、豊臣家存続のために
仲間からは日和ったと言われようと、徳川方との
パイプ役になり続けたリアリストのような気が。
まぁ、リシュリュー猊下だって実際は
後のブルボン朝の繁栄の礎を築いた大偉人なんですけどね。
どうやらミレディーのアトス元嫁設定は健在のよう。
で、見に行きたいかというと、ちょっとなぁ……
演舞場なのでチケットのお値段の幅はピンキリ
うーん、自分で三銃士妄想やってた方が楽しそうなw
それよりふっと思ったのが、どうせ翻案ネタやるなら
歌舞伎版『椿姫』ってできないだろうかと。
高級娼婦(クルティザンヌ)って花魁みたいなもんだよなぁ、というわけで
玉椿太夫は吉原で一二を争う花魁であったが
あるとき馴染みの一人から有馬屋の若旦那を紹介される。
まだ若く遊びを知らない若旦那は玉椿に夢中になっていくが
最初は手練手管であしらっていた玉椿自身も
若旦那の純粋さに次第に惹かれていく。
しかし、息子の吉原狂いを気にかけた大旦那が乗り込んできたり
玉椿が労咳に倒れてしまったり……というのを
世話物テイストでできないものだろうか?
ハムレットの歌舞伎版というのは聞いたことがありますし
『陰陽師』とか新作にチャレンジしているのであれば
こういう方向性もやってみてほしいなーと、勝手なお願いでした。
更新したらこっちで告知するよう心掛けてはいるのですが
思っていたより長くなってしまい、力尽きました【泣】
でもまぁ「更新しました」とだけ載せておいて
本記はまた後から書けばいいだけなんですけどね。
ということである意味ほぼ余談。
会社最寄りの駅に『大和三銃士』のポスターが
でかでかと、それも何枚も貼られていて
ただでさえ三銃士好きの店主、ついつい目が行ってしまいます。
なんとなーくポスターの面々から誰が原作でいうところの
誰かというのは見当がつくところなのですが、
そもそもあの三銃士を日本を舞台に置き換えたとあらば
いったいどこのどの時代の(衣装からだいたいは判るが)
どういう設定かというだけでも興味津々。
そういうときは詳しくはwebで、というのが基本【笑】
なんですが――やってくれるじゃないか松竹さんよ
映画の公式サイトのようにFLASHなんか豪華に使った感じのを
想像していたのですが、かなり掻い摘んだあらすじとキャストだけ。
舞台としては、大坂の陣前夜というべき頃の豊臣方陣営が
イコール、ルイ13世治世のフランスというところ。
そして「三銃士」に当たるのが
花鶏織部(あとり・おりべ):中村獅童
花輪嵐(はなわ・あらし):濵田 崇裕
蓬莱万十郎(ほうらい・まんじゅうろう):藤井隆
名前の響きで誰が誰だか判りそうなものですが……
どう見ても獅童がポルトスだろ【爆】
アラミスがジャニというのは超妥当、どの映像化でも
たいてい美男子ですので。それが高じてアニメでは男装の麗人でしたがw
でもって、アニメ三銃士上がりとしてはどーも藤井隆がアトスっぽい【苦笑】
いや、ポルトスは巨漢・怪力の豪傑ってのが共通設定だろ。
まぁでも、アニメでこそ影が薄かったですが(神谷さんだったのに……)
原作じゃダルと一番仲良しだったのはアトス兄ぃでしたしね
だから見間違えるはずがないのですが。
ちなみにリシュリューに相当するのが片桐且元
確かに豊臣目線で見れば徳川方に内通していた裏切り者ですが
勝者が総ての後世からしてみれば、豊臣家存続のために
仲間からは日和ったと言われようと、徳川方との
パイプ役になり続けたリアリストのような気が。
まぁ、リシュリュー猊下だって実際は
後のブルボン朝の繁栄の礎を築いた大偉人なんですけどね。
どうやらミレディーのアトス元嫁設定は健在のよう。
で、見に行きたいかというと、ちょっとなぁ……
演舞場なのでチケットのお値段の幅はピンキリ
うーん、自分で三銃士妄想やってた方が楽しそうなw
それよりふっと思ったのが、どうせ翻案ネタやるなら
歌舞伎版『椿姫』ってできないだろうかと。
高級娼婦(クルティザンヌ)って花魁みたいなもんだよなぁ、というわけで
玉椿太夫は吉原で一二を争う花魁であったが
あるとき馴染みの一人から有馬屋の若旦那を紹介される。
まだ若く遊びを知らない若旦那は玉椿に夢中になっていくが
最初は手練手管であしらっていた玉椿自身も
若旦那の純粋さに次第に惹かれていく。
しかし、息子の吉原狂いを気にかけた大旦那が乗り込んできたり
玉椿が労咳に倒れてしまったり……というのを
世話物テイストでできないものだろうか?
ハムレットの歌舞伎版というのは聞いたことがありますし
『陰陽師』とか新作にチャレンジしているのであれば
こういう方向性もやってみてほしいなーと、勝手なお願いでした。
当Hrad-Luck Cafeがめでたく50,000hitを迎えました。
って、最初から通しで使っているカウンターではないにしても
こんな数字、よそのサイト様ならとっくに達成してるんだよね【嘆息】
ともかく、ここまで来られましたのもこんな過疎サイトに
おいでくださるお客さまのおかげです。
最近なかなか手応えが感じられませんが
誠にありがとうございますm(_ _)m
……で、キリバンゲッターの方、名乗り出てくれませんかね?
===================================
たまたま教育テレビでやっていた歌舞伎中継(録画)で
『将軍江戸を去る』を見ました。
ちょうど侍ジャパンの壮行試合が終わったとこだったので【苦笑】
香川照之が市川中車を襲名した初舞台として
話題となった公演ですので、どんなもんだったか見てみようという
野次馬根性が一番大きな理由といったらそれまでなんですが。
そもそも店主、歌舞伎の舞台を通しで見たことは
テレビ中継を含めてありません。
それで初めてが割りと異色作ってのが何なんですが。
この演目は明治期に書かれた、いわゆる『新歌舞伎』と呼ばれるもの
江戸歌舞伎が歌あり踊りありのミュージカルだとしたら
これは云わばストレートプレイ。
だからこそ長年、外の世界で活躍してきた香川氏にとって
やりやすい演目であったのでしょうが。
最初の印象が、やっぱり発声がなってないなぁと【泣】
歌舞伎はともかく、舞台は好きで一時期(ビデオ含め)よく見ていたので
これくらいのことなら判ります。
これが現代劇でも舞台メインの方ならまだ良かったのかもしれませんが
香川さんはどっちかといえば映像方面の印象が強いからなぁ。
やっぱり他の歌舞伎役者の方は普通の台詞回しでも
声が通るんですよね、朗々と。
たとえるならまるでオペラ歌手のガラ公演に
一人だけ特別ゲストとしてロック歌手が招かれたような
そんな場違い感。メソッドがまるで違う。
それと、ちょうど劇中で中車丈=香川氏が演じる
山岡鉄太郎(鉄舟)の立場が、演じている中車丈自身に
重なってしまったのは店主だけでしょうか。
冒頭、彰義隊がたむろする寛永寺に将軍・慶喜を説得すべく
単身乗り込む鉄太郎はいわば完全アウェーの状態。
しかも彰義隊幹部を演じるのは右近丈や猿弥丈など
先代猿之助の弟子筋の役者たち。
彼らにとって、その先代の息子というだけで
この齢で中車を襲名した香川氏を
諸手を挙げて受け入れられるかとは思えない、というのは
外野の勝手な憶測かもしれませんが
そんな緊張感が舞台上でも表れていたような。
次の場では一転して、重臣の海老蔵丈を立会人として
団十郎丈演じる将軍との直談判。
まさに市川宗家・成田屋というのは
歌舞伎における徳川将軍家のようなものですからね。
このシーンは異色の中年大物新人に対する
『将軍』の謁見の場だったのではないかと。
中継の冒頭、案内役のナンノさんは香川氏の演技を
「熱演」と紹介していましたが、
ある意味、苦し紛れの褒め言葉だったような【泣笑】
それでも、これはTV中継ならではなのかもしれませんが
香川氏、汗だくでしたし、その熱意においては
決して舞台上で引けを取らなかったのではないでしょうか。
まぁ、まだまだこれからなんですけどね、市川中車としては。
これからどんどん舞台上で経験を積んでいくにしたがって
今回感じた違和感は次第に薄れていくと思います。
ただ、そこで普通の歌舞伎俳優らしくなってほしくないのですよ。
その歌舞伎向きではない声も含めて
香川氏らしさを失ってほしくはないのです。
それがこの齢で歌舞伎の世界に足を踏み入れた
彼らしさなのですから。
――いつか、彼が中車として歌舞伎界に確固とした居場所を築いたとき
またこの『将軍江戸を去る』を見てみたいものです。
もしかしたら将軍役は海老様になっているかもしれませんし
TVではなく新装なった歌舞伎座で生で見ているかもしれませんが、店主。
って、最初から通しで使っているカウンターではないにしても
こんな数字、よそのサイト様ならとっくに達成してるんだよね【嘆息】
ともかく、ここまで来られましたのもこんな過疎サイトに
おいでくださるお客さまのおかげです。
最近なかなか手応えが感じられませんが
誠にありがとうございますm(_ _)m
……で、キリバンゲッターの方、名乗り出てくれませんかね?
===================================
たまたま教育テレビでやっていた歌舞伎中継(録画)で
『将軍江戸を去る』を見ました。
ちょうど侍ジャパンの壮行試合が終わったとこだったので【苦笑】
香川照之が市川中車を襲名した初舞台として
話題となった公演ですので、どんなもんだったか見てみようという
野次馬根性が一番大きな理由といったらそれまでなんですが。
そもそも店主、歌舞伎の舞台を通しで見たことは
テレビ中継を含めてありません。
それで初めてが割りと異色作ってのが何なんですが。
この演目は明治期に書かれた、いわゆる『新歌舞伎』と呼ばれるもの
江戸歌舞伎が歌あり踊りありのミュージカルだとしたら
これは云わばストレートプレイ。
だからこそ長年、外の世界で活躍してきた香川氏にとって
やりやすい演目であったのでしょうが。
最初の印象が、やっぱり発声がなってないなぁと【泣】
歌舞伎はともかく、舞台は好きで一時期(ビデオ含め)よく見ていたので
これくらいのことなら判ります。
これが現代劇でも舞台メインの方ならまだ良かったのかもしれませんが
香川さんはどっちかといえば映像方面の印象が強いからなぁ。
やっぱり他の歌舞伎役者の方は普通の台詞回しでも
声が通るんですよね、朗々と。
たとえるならまるでオペラ歌手のガラ公演に
一人だけ特別ゲストとしてロック歌手が招かれたような
そんな場違い感。メソッドがまるで違う。
それと、ちょうど劇中で中車丈=香川氏が演じる
山岡鉄太郎(鉄舟)の立場が、演じている中車丈自身に
重なってしまったのは店主だけでしょうか。
冒頭、彰義隊がたむろする寛永寺に将軍・慶喜を説得すべく
単身乗り込む鉄太郎はいわば完全アウェーの状態。
しかも彰義隊幹部を演じるのは右近丈や猿弥丈など
先代猿之助の弟子筋の役者たち。
彼らにとって、その先代の息子というだけで
この齢で中車を襲名した香川氏を
諸手を挙げて受け入れられるかとは思えない、というのは
外野の勝手な憶測かもしれませんが
そんな緊張感が舞台上でも表れていたような。
次の場では一転して、重臣の海老蔵丈を立会人として
団十郎丈演じる将軍との直談判。
まさに市川宗家・成田屋というのは
歌舞伎における徳川将軍家のようなものですからね。
このシーンは異色の中年大物新人に対する
『将軍』の謁見の場だったのではないかと。
中継の冒頭、案内役のナンノさんは香川氏の演技を
「熱演」と紹介していましたが、
ある意味、苦し紛れの褒め言葉だったような【泣笑】
それでも、これはTV中継ならではなのかもしれませんが
香川氏、汗だくでしたし、その熱意においては
決して舞台上で引けを取らなかったのではないでしょうか。
まぁ、まだまだこれからなんですけどね、市川中車としては。
これからどんどん舞台上で経験を積んでいくにしたがって
今回感じた違和感は次第に薄れていくと思います。
ただ、そこで普通の歌舞伎俳優らしくなってほしくないのですよ。
その歌舞伎向きではない声も含めて
香川氏らしさを失ってほしくはないのです。
それがこの齢で歌舞伎の世界に足を踏み入れた
彼らしさなのですから。
――いつか、彼が中車として歌舞伎界に確固とした居場所を築いたとき
またこの『将軍江戸を去る』を見てみたいものです。
もしかしたら将軍役は海老様になっているかもしれませんし
TVではなく新装なった歌舞伎座で生で見ているかもしれませんが、店主。
実は『高橋いさをワールド』
2011年10月30日 演劇
映画はすっぴんで見に行けるけど
舞台は一応気合い入れて見に行くことにしています。
だって、ライヴもそうですが
同じ空間に憧れの俳優さんがいるんですから。
ということで、見に行ってきました
上川隆也『隠蔽捜査』@1010シアター。
今日が東京公演の千秋楽だったんですが
それを狙ったわけでなく、うだうだしていたら
もうこの日しか見に行ける公演が無かったというだけ。
今回はシリーズ第2作の『果断・隠蔽捜査2』と
交互公演という形でしたが、2はドラマで見たのでと
こっちを見に行くことにしたんですが、
1も見ておけばよかったとちょっとした後悔。
やっぱりこういうものは見比べた方が
面白いに決まっていますから。
まして舞台という映像に比べて制約が大きい媒体で
どうやってこの世界を再現するかというのに興味がありましたから。
そもそも警察小説を舞台化できるのかと。
でも、ここで描かれているのは『現場』ではなく『会議室』【苦笑】
そこでのエリートという選ばれた、限られた面々による
密室劇という世界であれば、まさに演劇の得意とするところ。
そしてふと、こんな世界観にデジャヴが
――これは『ある日僕らは夢の中で出会う』だ。
『ある日僕らは~』、本作の演出を手がける高橋いさを作品
そして我がT女子高演劇部の上演作でもあります。
4人の誘拐犯と彼らを追う4人の刑事の物語ですが
彼ら以外の被害者やその家族の存在はカットされていますから。
ちなみに俳優たちは一幕ごとに刑事と誘拐犯を演じ分けるという
普通に考えれば高校生にはめちゃくちゃ難しすぎる台本なのですが
(しかも全員男なのに演じているのはもちろん全員女子)
その点も、2つの演目を交互に演じるとともに
役者によっては2つの演目で違う役を演じるという
『隠蔽捜査』&『果断・隠蔽捜査2』と相通じるものも。
『隠蔽捜査』で「舞台外」の事柄を物語るのは
主人公・竜崎(上川)の友人で刑事部長の伊丹(中村扇雀)。
ステージの構造としては、舞台上のさらに一段上が「舞台」で
その下の、いわゆる平舞台が狂言回しのスペース。
この辺もメタフィクションを得意とする高橋氏ならでは。
ただ、語りと演技の二重構造だったらよくある手法
夜、自宅で平舞台上(=別の空間)の伊丹からの電話に
呼び出された竜崎が、でも出かける支度をしようにも
奥さんがすでに舞台上から退場、
そこで下にいた扇雀丈がジャケットを上川さんに渡すんですが
こんな演劇でしかありえないシーンに
さすがいさをちゃん!と感嘆してしまいました。
で、肝心の上川さん。
『遺留捜査』の糸崎とは真逆の
低く重い声でニコリともしない役柄。
うーん、一歩間違えば一本調子になりかねないキャラですが
これができるのは生真面目キャラを演じてン年の上川さんならでは。
TVではアクの強い役柄が回ってきがちな舞台出身者の中で
例外的に『いいひと』を演じ続けてきてますから。
一方で、奥さん役はTVでは原田美枝子さんが
落ち着いた感じで演じていましたが
(竜崎役が陣内孝則だもん、腰の軽そうな竜崎だなぁ;苦笑)
舞台版の斉藤レイさんは明るくもしっかり者といった感じで
堅物な上川さんといいアンサンブルでした。
そして、共演者といえば上川さんにとって
キャラメルボックスの同期の近江谷さん。
『隠蔽捜査』では上川さんの部下役ですが
『果断』では上川さんをいびる上司役ということで
この辺は面白い見比べポイントだったと思います。
さて、でもなんでテレ朝制作という話題の舞台『隠蔽捜査』が
シアター1010なんて場末とはいいませんが
都心からは少し離れた劇場で上演されることになったのか
(おかげで店主にとっては見に行きやすかったのですが)
少し気になるところではあったのですが、
そもそもこの物語の発端が、綾瀬で起こった
ある陰惨な少年事件(といえば現実のアレと思い出す人も多いでしょう)
そして第1、第2の事件現場がその近くという
観客を劇の世界に引き込む仕掛けの一つだったんじゃないかと。
云わば、CH映画版を新宿で見るノリですよね。
この感覚は地方公演ではちょっと味わえないのが残念ではあります。
さて、CHといえば……
劇場の入り口によく関係者からのお花が飾ってありますが
なぜか上川さんあてに北条センセからのお花が贈られていました。
上川さんがマンガやアニメがお好きというのは
一部ではよく知られていることではありますが
いったいどういう接点があったんでしょうか?
舞台は一応気合い入れて見に行くことにしています。
だって、ライヴもそうですが
同じ空間に憧れの俳優さんがいるんですから。
ということで、見に行ってきました
上川隆也『隠蔽捜査』@1010シアター。
今日が東京公演の千秋楽だったんですが
それを狙ったわけでなく、うだうだしていたら
もうこの日しか見に行ける公演が無かったというだけ。
今回はシリーズ第2作の『果断・隠蔽捜査2』と
交互公演という形でしたが、2はドラマで見たのでと
こっちを見に行くことにしたんですが、
1も見ておけばよかったとちょっとした後悔。
やっぱりこういうものは見比べた方が
面白いに決まっていますから。
まして舞台という映像に比べて制約が大きい媒体で
どうやってこの世界を再現するかというのに興味がありましたから。
そもそも警察小説を舞台化できるのかと。
でも、ここで描かれているのは『現場』ではなく『会議室』【苦笑】
そこでのエリートという選ばれた、限られた面々による
密室劇という世界であれば、まさに演劇の得意とするところ。
そしてふと、こんな世界観にデジャヴが
――これは『ある日僕らは夢の中で出会う』だ。
『ある日僕らは~』、本作の演出を手がける高橋いさを作品
そして我がT女子高演劇部の上演作でもあります。
4人の誘拐犯と彼らを追う4人の刑事の物語ですが
彼ら以外の被害者やその家族の存在はカットされていますから。
ちなみに俳優たちは一幕ごとに刑事と誘拐犯を演じ分けるという
普通に考えれば高校生にはめちゃくちゃ難しすぎる台本なのですが
(しかも全員男なのに演じているのはもちろん全員女子)
その点も、2つの演目を交互に演じるとともに
役者によっては2つの演目で違う役を演じるという
『隠蔽捜査』&『果断・隠蔽捜査2』と相通じるものも。
『隠蔽捜査』で「舞台外」の事柄を物語るのは
主人公・竜崎(上川)の友人で刑事部長の伊丹(中村扇雀)。
ステージの構造としては、舞台上のさらに一段上が「舞台」で
その下の、いわゆる平舞台が狂言回しのスペース。
この辺もメタフィクションを得意とする高橋氏ならでは。
ただ、語りと演技の二重構造だったらよくある手法
夜、自宅で平舞台上(=別の空間)の伊丹からの電話に
呼び出された竜崎が、でも出かける支度をしようにも
奥さんがすでに舞台上から退場、
そこで下にいた扇雀丈がジャケットを上川さんに渡すんですが
こんな演劇でしかありえないシーンに
さすがいさをちゃん!と感嘆してしまいました。
で、肝心の上川さん。
『遺留捜査』の糸崎とは真逆の
低く重い声でニコリともしない役柄。
うーん、一歩間違えば一本調子になりかねないキャラですが
これができるのは生真面目キャラを演じてン年の上川さんならでは。
TVではアクの強い役柄が回ってきがちな舞台出身者の中で
例外的に『いいひと』を演じ続けてきてますから。
一方で、奥さん役はTVでは原田美枝子さんが
落ち着いた感じで演じていましたが
(竜崎役が陣内孝則だもん、腰の軽そうな竜崎だなぁ;苦笑)
舞台版の斉藤レイさんは明るくもしっかり者といった感じで
堅物な上川さんといいアンサンブルでした。
そして、共演者といえば上川さんにとって
キャラメルボックスの同期の近江谷さん。
『隠蔽捜査』では上川さんの部下役ですが
『果断』では上川さんをいびる上司役ということで
この辺は面白い見比べポイントだったと思います。
さて、でもなんでテレ朝制作という話題の舞台『隠蔽捜査』が
シアター1010なんて場末とはいいませんが
都心からは少し離れた劇場で上演されることになったのか
(おかげで店主にとっては見に行きやすかったのですが)
少し気になるところではあったのですが、
そもそもこの物語の発端が、綾瀬で起こった
ある陰惨な少年事件(といえば現実のアレと思い出す人も多いでしょう)
そして第1、第2の事件現場がその近くという
観客を劇の世界に引き込む仕掛けの一つだったんじゃないかと。
云わば、CH映画版を新宿で見るノリですよね。
この感覚は地方公演ではちょっと味わえないのが残念ではあります。
さて、CHといえば……
劇場の入り口によく関係者からのお花が飾ってありますが
なぜか上川さんあてに北条センセからのお花が贈られていました。
上川さんがマンガやアニメがお好きというのは
一部ではよく知られていることではありますが
いったいどういう接点があったんでしょうか?
『アルトゥロ・ウイの興隆』
2005年6月29日 演劇を新国立劇場まで見に行ってきました。
あのブレヒトが設立したベルリナー・アンサンブルの来日公演なんですが
チケットが学割で半額なんですよお嬢さん(って誰?)
そりゃお買い得だとのこのこ行ってまいりました。
この劇はヒトラーの興隆を同時代のシカゴのギャングになぞらえて描いた、ま、いわば風刺劇なんですが
ブレヒトの言うところの異化効果がどのようなものかというのを実感できる舞台でした。百聞は一見に如かず。
もともと土台がヒトラーという感情移入できない、それを歴史が許さない題材ですが
それを主演のマルティン・ヴトケが実に体を張って、声を裏返して熱演していました。あれは化け物そのものだ。
しかし、店主ががっかりしたのは貸し出しの音声ガイド。
ドイツ語なんて院試の第二外国語以来すっかり空っぽになってしまった店主にとってはなくてはならないアイテムなんですが
その声が無表情、しかも低すぎ。
俳優の声がかなり甲高いものだったので違和感ありありでした。
でも地声は落ち着いた感じの低音でしたが
なので頭の中で日本語のセリフと俳優の口調を重ねて自分で吹き替えしなきゃならないのは結構大変。それで精一杯。
だったら字幕にしてくれたほうがありがたかった・・・。
はてさて、舞台はウイ(=ヒトラー)が市長(=ヒンデンブルク大統領)を丸め込んでシカゴの青果産業(=ワイマール共和国の実権)を握り、
反対する同志を暗殺してまで勢力を拡大し、ついには隣市シセロの青果トラストを併合する(=オーストリア併合)するが
マクベスのように暗殺した同志の亡霊に苦しめられる、というところでジ・エンド。尻切れ蜻蛉。マクダフもいない、バーナムの森も動かない『マクベス』といったところでしょうか。後味は良くないわな。
そもそもブレヒトの演劇っていうのは暇つぶしでも現実逃避でもない、
むしろ意図するところは広島の平和祈念館やアウシュヴィッツの資料館に近いでしょう。
つまり今、社会で何が起きているのかを判りやすい形で提示して、あとは自分で考えろ、と。
そもそもこの戯曲が書かれたのは1941年。ヒトラーの『物語』がナチスの敗北、ヒトラー自殺という形で『大団円』を迎える前の話なのだからしかたがありませんが。
そういうわけで、よりこの舞台を理解するためには当時のドイツの歴史的状況をお勉強する必要もあるのかも。
ドイツの人たちはそれこそ歴史の時間でナチスの悪行はこれでもかと教え込まれるわけなのだが、日本の場合は過去100年の歴史なんて大抵学期中に終わらなくって駆け足になってしまう。
だから「日本とアメリカが戦争したの?」とマジで驚く若者がいるという話もうなずけてしまうのですが。
店主もドイツのことなんて専門外、唯一仕入れた知識は『トラップ一家物語』仕込み【爆】というお馬鹿ですが
ハイナー・ミュラーの演出はむしろこの戯曲をヒトラーの時代のものと限定してしまうのではなく
独裁者の台頭として普遍化して見せた、といえる。
ブレヒトの演出ではそれぞれのシーンのあとに、それに対応する歴史的事実が字幕で表示された、らしい。
といってもお勉強臭の強いものじゃなく、かなり笑えました。
特にウイが落ちぶれた役者を雇って演説や振り付けを練習するシーン。
ヒトラーもまた演説のために振り付けを行ったのは有名なんですが
あれはむしろコント。ドイツ語判らなくても笑えます。
店主自身としてはそこで出てくる老俳優の「シェイクスピアのせいで人生棒に振った」というセリフに共感を覚えてしまいました。
店主だってシェイクスピアに出会わなければ、いまごろこんな極潰し生活を送ってなかったよな・・・。
それにしても、濃い劇だった。
まるで何度も繰り返されるカーテンコールが、舞台の悪夢から覚めるための儀式のようで。
そして閉幕後のシアタートークでは、なぜかNHKの堀尾アナ登場。
何で?と思ったが、もう13回目の登板らしい。
でも堀尾アナ、思いっきり墓穴掘ってました。
学習院の名誉教授の長ったらしい質問さばいたのはさすがでしたが。
(今回、めんどくさいんでテクニカル・タームはどうかご自分でググるなりしてお調べください。赤字にしておきましたのでm(_ _)m)
あのブレヒトが設立したベルリナー・アンサンブルの来日公演なんですが
チケットが学割で半額なんですよお嬢さん(って誰?)
そりゃお買い得だとのこのこ行ってまいりました。
この劇はヒトラーの興隆を同時代のシカゴのギャングになぞらえて描いた、ま、いわば風刺劇なんですが
ブレヒトの言うところの異化効果がどのようなものかというのを実感できる舞台でした。百聞は一見に如かず。
もともと土台がヒトラーという感情移入できない、それを歴史が許さない題材ですが
それを主演のマルティン・ヴトケが実に体を張って、声を裏返して熱演していました。あれは化け物そのものだ。
しかし、店主ががっかりしたのは貸し出しの音声ガイド。
ドイツ語なんて院試の第二外国語以来すっかり空っぽになってしまった店主にとってはなくてはならないアイテムなんですが
その声が無表情、しかも低すぎ。
俳優の声がかなり甲高いものだったので違和感ありありでした。
でも地声は落ち着いた感じの低音でしたが
なので頭の中で日本語のセリフと俳優の口調を重ねて自分で吹き替えしなきゃならないのは結構大変。それで精一杯。
だったら字幕にしてくれたほうがありがたかった・・・。
はてさて、舞台はウイ(=ヒトラー)が市長(=ヒンデンブルク大統領)を丸め込んでシカゴの青果産業(=ワイマール共和国の実権)を握り、
反対する同志を暗殺してまで勢力を拡大し、ついには隣市シセロの青果トラストを併合する(=オーストリア併合)するが
マクベスのように暗殺した同志の亡霊に苦しめられる、というところでジ・エンド。尻切れ蜻蛉。マクダフもいない、バーナムの森も動かない『マクベス』といったところでしょうか。後味は良くないわな。
そもそもブレヒトの演劇っていうのは暇つぶしでも現実逃避でもない、
むしろ意図するところは広島の平和祈念館やアウシュヴィッツの資料館に近いでしょう。
つまり今、社会で何が起きているのかを判りやすい形で提示して、あとは自分で考えろ、と。
そもそもこの戯曲が書かれたのは1941年。ヒトラーの『物語』がナチスの敗北、ヒトラー自殺という形で『大団円』を迎える前の話なのだからしかたがありませんが。
そういうわけで、よりこの舞台を理解するためには当時のドイツの歴史的状況をお勉強する必要もあるのかも。
ドイツの人たちはそれこそ歴史の時間でナチスの悪行はこれでもかと教え込まれるわけなのだが、日本の場合は過去100年の歴史なんて大抵学期中に終わらなくって駆け足になってしまう。
だから「日本とアメリカが戦争したの?」とマジで驚く若者がいるという話もうなずけてしまうのですが。
店主もドイツのことなんて専門外、唯一仕入れた知識は『トラップ一家物語』仕込み【爆】というお馬鹿ですが
ハイナー・ミュラーの演出はむしろこの戯曲をヒトラーの時代のものと限定してしまうのではなく
独裁者の台頭として普遍化して見せた、といえる。
ブレヒトの演出ではそれぞれのシーンのあとに、それに対応する歴史的事実が字幕で表示された、らしい。
といってもお勉強臭の強いものじゃなく、かなり笑えました。
特にウイが落ちぶれた役者を雇って演説や振り付けを練習するシーン。
ヒトラーもまた演説のために振り付けを行ったのは有名なんですが
あれはむしろコント。ドイツ語判らなくても笑えます。
店主自身としてはそこで出てくる老俳優の「シェイクスピアのせいで人生棒に振った」というセリフに共感を覚えてしまいました。
店主だってシェイクスピアに出会わなければ、いまごろこんな極潰し生活を送ってなかったよな・・・。
それにしても、濃い劇だった。
まるで何度も繰り返されるカーテンコールが、舞台の悪夢から覚めるための儀式のようで。
そして閉幕後のシアタートークでは、なぜかNHKの堀尾アナ登場。
何で?と思ったが、もう13回目の登板らしい。
でも堀尾アナ、思いっきり墓穴掘ってました。
学習院の名誉教授の長ったらしい質問さばいたのはさすがでしたが。
(今回、めんどくさいんでテクニカル・タームはどうかご自分でググるなりしてお調べください。赤字にしておきましたのでm(_ _)m)
『ペリクリーズ』by NINAGAWA
2005年4月4日 演劇
先生から修論用に借りてきたビデオだったはずが
すっかり店主の個人的観賞用になっていた。
「内野さんかっこいー!!」
と何回叫んだことやら。
とにかくカッコいいのだ。骨張った精悍な顔つきがいかにも若き領主さまなのだ。長髪もじゃらじゃらしたピアスも似合うのだ。赤マフラーだって文句は言わない。
その挑発の似合いっぷりに、那智(『from Babilon to Zion』)の武士時代のイメージが沸いてきてしまうほど。いや、彼のヴィジュアルイメージはもちろん別の俳優さんなんですけど
まるで三国無双のような鎧姿の騎士の中、彼だけがみすぼらしい鎧であっても、その分彼だけの放つ『華』でプラマイゼロ、むしろプラス。
そして、船が難破して身一つになった姿の
見よ、この美しい肉体美!
BBC版ではペリクリーズはパンツ一丁になって貧弱な肉体をさらしてましたが
内野さんはしっかり鑑賞に堪えるお体をしてました、と断言する店主@肉体美ソムリエ【爆】
その上、さすが新劇出身。
「言う」というより「語る」というのがふさわしいような台詞を朗々と語るさまは思わず聞きほれてしまう。
特に、アンティオカス王の邪淫に気付きながらも空とぼけているさまは、
『悪党』好きな店主にしてみればもう失神寸前。
老臣ヘリケイナスが隻眼っていうのも良かった【笑】
それと、田中裕子がちゃんとお姫様してました。
最近は朝ドラのお母さんが定着しちゃってましたが
ちゃんと14歳の少女に見えたもん、カメラのアップでも。
(ちなみに中谷美紀で見てみたいと思った店主:バカ)
汚れなき美少女っていうんだから、下手に若い美人女優だと色が付いちゃうからねぇ。
でも、ペリクリーズの妃タイーサと娘マリーナの一人二役だから
最後、母子再会のシーンはどうするんだろうと思ったら
ちゃんとすり替わっててびっくりした。
マリーナは後ろ姿で、しっかりヴェールかぶってたからバレなかったし。
それにしても、台本で始めて読んだときはかなりおとぎ話的な胡散臭さを感じたのだが
現実にこうして役者が演じてるのを見たら
むしろ登場人物の生々しい感情が感じ取れた。
これが役者の肉体が持つ力なのか
それとも、あえてファンタジックな演出(「戦場で演じられる芝居」という設定)にした蜷川氏の力量なのか。
もし後者なら、「リアリズム小説よりむしろライトノベルにしか語れないリアリティがある」ということか【何それ】
終わってテレビつけたら鈴木紗理奈が出ててびっくりした。
すっかり店主の個人的観賞用になっていた。
「内野さんかっこいー!!」
と何回叫んだことやら。
とにかくカッコいいのだ。骨張った精悍な顔つきがいかにも若き領主さまなのだ。長髪もじゃらじゃらしたピアスも似合うのだ。赤マフラーだって文句は言わない。
その挑発の似合いっぷりに、那智(『from Babilon to Zion』)の武士時代のイメージが沸いてきてしまうほど。いや、彼のヴィジュアルイメージはもちろん別の俳優さんなんですけど
まるで三国無双のような鎧姿の騎士の中、彼だけがみすぼらしい鎧であっても、その分彼だけの放つ『華』でプラマイゼロ、むしろプラス。
そして、船が難破して身一つになった姿の
見よ、この美しい肉体美!
BBC版ではペリクリーズはパンツ一丁になって貧弱な肉体をさらしてましたが
内野さんはしっかり鑑賞に堪えるお体をしてました、と断言する店主@肉体美ソムリエ【爆】
その上、さすが新劇出身。
「言う」というより「語る」というのがふさわしいような台詞を朗々と語るさまは思わず聞きほれてしまう。
特に、アンティオカス王の邪淫に気付きながらも空とぼけているさまは、
『悪党』好きな店主にしてみればもう失神寸前。
老臣ヘリケイナスが隻眼っていうのも良かった【笑】
それと、田中裕子がちゃんとお姫様してました。
最近は朝ドラのお母さんが定着しちゃってましたが
ちゃんと14歳の少女に見えたもん、カメラのアップでも。
(ちなみに中谷美紀で見てみたいと思った店主:バカ)
汚れなき美少女っていうんだから、下手に若い美人女優だと色が付いちゃうからねぇ。
でも、ペリクリーズの妃タイーサと娘マリーナの一人二役だから
最後、母子再会のシーンはどうするんだろうと思ったら
ちゃんとすり替わっててびっくりした。
マリーナは後ろ姿で、しっかりヴェールかぶってたからバレなかったし。
それにしても、台本で始めて読んだときはかなりおとぎ話的な胡散臭さを感じたのだが
現実にこうして役者が演じてるのを見たら
むしろ登場人物の生々しい感情が感じ取れた。
これが役者の肉体が持つ力なのか
それとも、あえてファンタジックな演出(「戦場で演じられる芝居」という設定)にした蜷川氏の力量なのか。
もし後者なら、「リアリズム小説よりむしろライトノベルにしか語れないリアリティがある」ということか【何それ】
終わってテレビつけたら鈴木紗理奈が出ててびっくりした。
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