恋せぬ(?)ひとりが見た、恋せぬふたり
2022年3月25日 TV コメント (1)久々にちょっとしっかり公に向かって
書こうかなと思ったら、今月いっぱいで
DiaryNoteサービス終了ですかorz
(既存日記の閲覧・編集・削除のみ)
前々から考えていたNOTE参入も含めて
後釜をしばし考えねば……
ということで、おそらくここで最後
(orから2番目)の更新になるかと。
NHKよるドラ『恋せぬふたり』
https://www.nhk.jp/p/ts/VWNP71QQPV/
今まで見てきたどのドラマとは違う熱量で
(量的というより質的に)推してきたのは
日本の地上波でおそらく初めて
アロマンティック・アセクシュアルを
中心に据えたドラマだったから。
なので正直、隔世の念がありますよ
思い起こせば十数年前、性的指向云々というより
「30手前で交際経験ゼロ」という
動かしがたい事実に愕然としたとき、
今までどんな知識も与えてくれた大学図書館や
大型書店の本棚に、そのときの自分に
寄り添ってくれる本は一冊も無かった絶望。
ちょうどその頃、綿矢りさの
『勝手にふるえてろ』が出版されたんですが
当事者からすればむしろ突き放すような
ストーリーに改めて失望しましたっけ。
このドラマも決して全ての当事者を
満足させられるものではないですが
店主としましては、作ってくれただけで御の字です。
実際、初回から店主自身も個人的な地雷を
「処理するためにはコレだろ?」
と言わんばかりに、ちゅどんちゅどんと
爆破され続けましたよ、ええ【泣】
で、跳んで最終回。
確かに「そう来るかぁ」という結末でしたが
ロジックの伏線はちゃんと回収してるんですよね。
2話で「家族=味方」であると定義、
嫁いで、これから離婚しようという妹に
6話で「味方だから」と言ったということは
別居でも味方=家族であるという三段論法は
成り立つわけで。しかも5話以降の
咲子の行動の基準は「相手に我慢を強いない」。
その基準に則れば、咲子との『家族(仮)』を
続けるために、羽が妥協を強いられることは
彼女にとっては不本意だったんだろうなぁと。
その結果、羽は夢だった”野菜王国”への
一歩を踏み出し、咲子はその留守を
守ることになるわけですが、それを
「乗っ取り」と言われてしまうと……
確かにそう提案した咲子の態度に
図々しさが無かったとは言い切れず
でもそれは彼女がヒロインだからであり
その厚かましさこそが、ストーリーを動かす
原動力であるのだから仕方がない、と
書き手でもある店主としては思うのですが、さて。
それに、咲子は高橋邸の新オーナーではなく
むしろ管理人という立場なんだろうなと
それは持ち家と借家ぐらい違うこと。
彼女自身、この家に住み続けることを
「守る」という言葉で表現していたし、
羽と彼の祖母が作り上げてきた雰囲気を
損なうことなく暮らし続けるつもりなんだろうな。
現に1年後も家の中は変わった様子はなく
レトロな琺瑯の鍋でうどんを茹でたりしてるわけで。
また、このドラマに対する批判としてあった
男性優位性というか、マンスプレイニング的なものは
最後はちゃんとひっくり返ってたと思うんですけどね。
羽は当初、アロマアセクの先輩的立場であり
咲子との共同生活においても
彼女ほど依存的ではないように思われてたけど
最終話で「勇気づけるはずが支えられていた方は
僕だったんだね」的な転回もあったし
――そこまで彼は社会的強者かな?
と思える点もちらほらと。
彼が"持ってる”ものは、次の相続では
おそらく物納になりかねないような持ち家くらい。
それ以外、例えば職業面での社会的地位は
おそらく咲子の方が上なのかもしれない。
彼女は大卒でスーパーの本社勤務、
羽は専門卒でそのスーパーの店員。
流通業界は専門外だし
会社の規模によっても違うんだろうけど、
二人のキャリアパスの差って
キャリアとノンキャリというか
士官と兵卒というようなイメージ。
どんなに羽が現場経験豊富で
商品知識があっても、本社で働くのは
狭き門のような気がするのですが……
しかも、古のネット民としては
羽がブログではカムアウトしていても
同じ当事者とネット上で交流している
様子がないことに初回で引っかかった。
7話でバックヤードの様子が映ったとき
もしかしたら彼はネット弁慶なのではと
ふと思った。あのブログはあくまで
リアルでは言えない本音の捌け口
咲子に対しては割とはっきり物を言えたのは
「高橋羽」ではなく「羽色キャベツ」として
最初出会ったから、HN人格で
接することができたからかもしれない
(ということは家族(仮)=毎日がオフ会w)
高橋一生のガワに騙されがちだけど
羽はどちらかといえば”弱者男性”の側なのでは。
そういう男性+マンスプレイニング
=モラハラの温床になりかねないところを
最終回はきれいにひっくり返してくれたよなぁと。
咲子の言葉に”武装解除”されていく羽の表情は
さすが高橋一生という名演技でした【拍手】
ドラマの最後を飾る咲子のモノローグも
充分刺さるものでしたが、自分の心のメモ帳に
極太で書き記しておきたいと思ったのは
(仮)でいい、という言葉。アロマアセクのみならず
LGBTが陥りがちな落とし穴に対しての
きれいな抜け穴になっているというか、
確かに自分の属性に名前があるということは
最初は救いになるんだけど、そのうち
その名前すら自分を縛るものになるというか。
店主自身、アロマというよりリスロマ傾向だけど
そもそも恋愛感情って何?どこからが恋?
推しを推すのと何が違う?などと
突き詰めていってしまうと
その定義すら危うくなってしまうわけで
だったらもうQuestioningでいいじゃん!
ということですよね。
そもそも人と人との関係に
名前をつけられるものなのか、というのは
店主自身がずっと思い続けていること。
それは「私とあなた」の間でしか成り立たない
特異なものであるはずなのに
『恋人」とか「友達」とか交換可能な名前をつけて
そこに然るべき親密さを紐付けしようとする。
でも店主が一読者、一視聴者として見たいのは
その親密さのテンプレをすり抜けてしまうような
名づけようのない関係性なのよ、
と言うと大げさかもしれないけれど
例えば『恋せぬふたり』の前クールでやってた
『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』のようなw
可視化されることによって、そういう関係性も
ありなんじゃないかなぁという世の中になれば
分かりやすいマイノリティのみならず
普通からちょびっとはみ出してるだけの人も
ロマセクのシスヘテロも
生きやすい世の中になるんじゃないのかなぁ。
そしてゆくゆくは、店主もそういうのを
書けるようになれたらなぁ。
書こうかなと思ったら、今月いっぱいで
DiaryNoteサービス終了ですかorz
(既存日記の閲覧・編集・削除のみ)
前々から考えていたNOTE参入も含めて
後釜をしばし考えねば……
ということで、おそらくここで最後
(orから2番目)の更新になるかと。
NHKよるドラ『恋せぬふたり』
https://www.nhk.jp/p/ts/VWNP71QQPV/
今まで見てきたどのドラマとは違う熱量で
(量的というより質的に)推してきたのは
日本の地上波でおそらく初めて
アロマンティック・アセクシュアルを
中心に据えたドラマだったから。
なので正直、隔世の念がありますよ
思い起こせば十数年前、性的指向云々というより
「30手前で交際経験ゼロ」という
動かしがたい事実に愕然としたとき、
今までどんな知識も与えてくれた大学図書館や
大型書店の本棚に、そのときの自分に
寄り添ってくれる本は一冊も無かった絶望。
ちょうどその頃、綿矢りさの
『勝手にふるえてろ』が出版されたんですが
当事者からすればむしろ突き放すような
ストーリーに改めて失望しましたっけ。
このドラマも決して全ての当事者を
満足させられるものではないですが
店主としましては、作ってくれただけで御の字です。
実際、初回から店主自身も個人的な地雷を
「処理するためにはコレだろ?」
と言わんばかりに、ちゅどんちゅどんと
爆破され続けましたよ、ええ【泣】
で、跳んで最終回。
確かに「そう来るかぁ」という結末でしたが
ロジックの伏線はちゃんと回収してるんですよね。
2話で「家族=味方」であると定義、
嫁いで、これから離婚しようという妹に
6話で「味方だから」と言ったということは
別居でも味方=家族であるという三段論法は
成り立つわけで。しかも5話以降の
咲子の行動の基準は「相手に我慢を強いない」。
その基準に則れば、咲子との『家族(仮)』を
続けるために、羽が妥協を強いられることは
彼女にとっては不本意だったんだろうなぁと。
その結果、羽は夢だった”野菜王国”への
一歩を踏み出し、咲子はその留守を
守ることになるわけですが、それを
「乗っ取り」と言われてしまうと……
確かにそう提案した咲子の態度に
図々しさが無かったとは言い切れず
でもそれは彼女がヒロインだからであり
その厚かましさこそが、ストーリーを動かす
原動力であるのだから仕方がない、と
書き手でもある店主としては思うのですが、さて。
それに、咲子は高橋邸の新オーナーではなく
むしろ管理人という立場なんだろうなと
それは持ち家と借家ぐらい違うこと。
彼女自身、この家に住み続けることを
「守る」という言葉で表現していたし、
羽と彼の祖母が作り上げてきた雰囲気を
損なうことなく暮らし続けるつもりなんだろうな。
現に1年後も家の中は変わった様子はなく
レトロな琺瑯の鍋でうどんを茹でたりしてるわけで。
また、このドラマに対する批判としてあった
男性優位性というか、マンスプレイニング的なものは
最後はちゃんとひっくり返ってたと思うんですけどね。
羽は当初、アロマアセクの先輩的立場であり
咲子との共同生活においても
彼女ほど依存的ではないように思われてたけど
最終話で「勇気づけるはずが支えられていた方は
僕だったんだね」的な転回もあったし
――そこまで彼は社会的強者かな?
と思える点もちらほらと。
彼が"持ってる”ものは、次の相続では
おそらく物納になりかねないような持ち家くらい。
それ以外、例えば職業面での社会的地位は
おそらく咲子の方が上なのかもしれない。
彼女は大卒でスーパーの本社勤務、
羽は専門卒でそのスーパーの店員。
流通業界は専門外だし
会社の規模によっても違うんだろうけど、
二人のキャリアパスの差って
キャリアとノンキャリというか
士官と兵卒というようなイメージ。
どんなに羽が現場経験豊富で
商品知識があっても、本社で働くのは
狭き門のような気がするのですが……
しかも、古のネット民としては
羽がブログではカムアウトしていても
同じ当事者とネット上で交流している
様子がないことに初回で引っかかった。
7話でバックヤードの様子が映ったとき
もしかしたら彼はネット弁慶なのではと
ふと思った。あのブログはあくまで
リアルでは言えない本音の捌け口
咲子に対しては割とはっきり物を言えたのは
「高橋羽」ではなく「羽色キャベツ」として
最初出会ったから、HN人格で
接することができたからかもしれない
(ということは家族(仮)=毎日がオフ会w)
高橋一生のガワに騙されがちだけど
羽はどちらかといえば”弱者男性”の側なのでは。
そういう男性+マンスプレイニング
=モラハラの温床になりかねないところを
最終回はきれいにひっくり返してくれたよなぁと。
咲子の言葉に”武装解除”されていく羽の表情は
さすが高橋一生という名演技でした【拍手】
ドラマの最後を飾る咲子のモノローグも
充分刺さるものでしたが、自分の心のメモ帳に
極太で書き記しておきたいと思ったのは
(仮)でいい、という言葉。アロマアセクのみならず
LGBTが陥りがちな落とし穴に対しての
きれいな抜け穴になっているというか、
確かに自分の属性に名前があるということは
最初は救いになるんだけど、そのうち
その名前すら自分を縛るものになるというか。
店主自身、アロマというよりリスロマ傾向だけど
そもそも恋愛感情って何?どこからが恋?
推しを推すのと何が違う?などと
突き詰めていってしまうと
その定義すら危うくなってしまうわけで
だったらもうQuestioningでいいじゃん!
ということですよね。
そもそも人と人との関係に
名前をつけられるものなのか、というのは
店主自身がずっと思い続けていること。
それは「私とあなた」の間でしか成り立たない
特異なものであるはずなのに
『恋人」とか「友達」とか交換可能な名前をつけて
そこに然るべき親密さを紐付けしようとする。
でも店主が一読者、一視聴者として見たいのは
その親密さのテンプレをすり抜けてしまうような
名づけようのない関係性なのよ、
と言うと大げさかもしれないけれど
例えば『恋せぬふたり』の前クールでやってた
『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』のようなw
可視化されることによって、そういう関係性も
ありなんじゃないかなぁという世の中になれば
分かりやすいマイノリティのみならず
普通からちょびっとはみ出してるだけの人も
ロマセクのシスヘテロも
生きやすい世の中になるんじゃないのかなぁ。
そしてゆくゆくは、店主もそういうのを
書けるようになれたらなぁ。
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TUBEは永遠に不滅です!(笑)
どうかお体に気を付けて、お元気で!