焼きそばはソースが決め手、でも……

毎夏「目指せTUBE２世！」などと叫ぶ若手が現れるけれど
彼らには「春秋冬など目もくれず」の覚悟はあるのだろうか。
秋冬シングルを出しても夏ほど売れなかったり
それどころか街を歩いているだけで後ろ指差されたり……
この辺はメンバーの鉄板トークネタなので
インタビューやらＭＣやらで店主ほどの古株になると
耳タコなのだが、そこまでの覚悟やいかに。

夏歌ランキングなんてのをこの時期あちこちでやるので
TUBEが何位かで毎回一喜一憂してしまうのだけど
当然ながら、TUBE以外は夏以外も活動してるミュージシャン
云わば「人気ラーメン屋の冷やし中華」なのだが
TUBEは「冷やし中華専門店」といったところだろうか
（そんな店、実際には無いだろうけど）
……いや、むしろ「海の家の焼きそば」なのかもしれない
浜辺で食べるという非日常感こそ醍醐味で
味は二の次、街中の店とそもそも比較対象になるのか……

そんなわけで、いつもどこかで気になってしまうのは
音楽業界全体におけるTUBEの立ち位置といったところ。
J-popの通史的な本をついつい手に取ってみても
TUBEのチの字もありゃしない【泣】
（チェッカーズやチャゲアスの「チ」はあるけれど）
そもそも「夏バンド」という括りにされてしまったから
キワモノとはいわないまでも別枠扱いにされてしまって
そういう全体の流れから切り離されてしまってはいないだろうか。

まぁ確かにTUBEは「海の家」かもしれない
でも、ただの海の家でないことは“常連”の一人である
店主が一番よく知っている。
確かに店のメニューに並ぶのは夏の定番商品かもしれない。
でもこそっと、店先で焼きそばを焼いている
小太りで人好きのするタレ目の兄ちゃん、と呼ぶには
少々トウの立った若作りのおっちゃんに訊いてみてほしい
「○○、ある？」と。
ラテンでもレゲエでも、ハードロックでもバラードでも、何でもいい
海の家のおっちゃんは言うだろう
にやりと、目を輝かせつつ「あるよｗ」と。
――海の家『前田屋』の裏メニュー
　常連だけの特権にしておくには、少々勿体ないんで。