CHファンとしては、海外ニュースに中米ネタがあると
ついつい見てしまいます。
先日も、メキシコの洞窟で100体以上の遺体が発見ということで
まさか大量虐殺かと慌てふためきましたが
調査の結果、集団墓地の跡だったとのことで一安心。
メキシコは政治・経済的にはあの辺ではまともな方ですが
一大消費地・アメリカが地続きだからか
麻薬がらみの抗争で物騒になっている街も多いらしいそうで。
もしかしたらユニオンみたいな巨大組織が牛耳っていれば
それはそれで安全なのかもしれませんが。
それに、あの辺の国にはこういう前科もありますので……

店主が「撩が育った国じゃないか」と
勝手に目星をつけているのがグァテマラ共和国。
詳しくはhttp://49546.diarynote.jp/201002061608468992/
ご参照いただければ幸いですが
あちこち内線が絶えなかった中米において
撩の乗っていた飛行機が落ちたであろう1960年代から
ドンパチやっていたのがここくらいだったというのが理由なのですが、
その国の歴史のみならず中米の現代史に大きく暗い影を落とすのが
政府軍によるマヤ系先住民の大虐殺。
先住民たちは当然メスティーソや白人たちとは違い
独自の言葉を持っているのですが、スペイン語しか判らない彼らは当然
先住民が何を言っているのか判らない→何を考えているのか判らない
→俺たちの陰口を言っているのかもしれない→殺しちまえ、と
結果、もはやジェノサイドと呼んでも
過言ではないほどの虐殺が行われたとのこと。

さて、今回禁錮6060年という判決が下った元兵士は
政府側の特殊部隊の所属だったわけで
親米独裁軍事政権に金で雇われた傭兵だったであろう
海ちゃんと同じ側ということですね。
もちろんサムライ・伊集院隼人のいた部隊が
そのようなことに手を染めたとは思いたくはないのですが
じゃあ撩はというと……やってそうな気がするんですよねぇ【泣】
先住民の虐殺、という一点だけを取り上げれば
彼らもまた同じように独裁の被害者ともいえるのですが、
やられたら(ときに倍にして)やり返すのが戦争ですから
同じような残虐行為をやっていないとは言い切れない。
現に、美樹さんの家族を殺したのもゲリラの仕業ですからね。

撩の経験した内線を現実のグァテマラ内戦と重ね合わせれば
初期のゲリラは独裁者に反旗を翻した若手将校が中心だったので
海原やマリィー父などの古参兵たちには
強きを挫き弱きを守るという気概と、軍人らしい規律があったはず。
撩たちには軍服が支給されていたようなので
まだ軍隊らしいまともな部隊だったんでしょう。
でも、その手のルポルタージュや現代の中東のテロリストを見れば判るように
この手の非正規軍って制服はあってないようなもの。
戦争が激しくなり、補充と訓練が追いつかなくなれば
そういった着の身着のままの兵士たちが次第に増えていき、
素人に毛の生えたような彼らには規律など求める方が無駄で
もともと字もろくに読めないであろう彼らに教え込まれるのは
ただ「自分たちは正義」で「敵は悪」であるということだけでしょう。
その結果、『正義』のためなら『敵』に何をしてもかまわないと
両軍ともに残虐行為に至ってもおかしくはなかったはず。

最近もありましたよね、アフガンで米兵が銃を乱射したって。
脳外傷の後遺症じゃないかとの発表もありましたが
あのニュースを聞いて連想したのがベトナム戦争のソンミ村。
ですが、こういう悲劇は歴史上数知れないというか
昔の方が現代よりえげつなかったわけで、十字軍だとか。
「鬼畜米英」にしても「黄色いサル」にしても
しばしば敵は人間以外のものに喩えられることが多いわけで
人間ではないから殺せるし、何をしても平気と思ってしまうのが
戦争の、そして人間の恐ろしいところ。
撩の少年兵時代のトラウマとして
しばしばエンジェルダスト投与時のことが挙げられますが
それ以前から地獄を見てきただろうし
その頃は地獄を地獄と思わなかったかと。
ADはただのきっかけに過ぎなかったような気がします。
でも、それがもとで彼は真実に目覚めたのでは。

彼がシティーハンターの仕事を続けている理由として
店主は『償い』なのではと思うのです。
海原らに教え込まれた戦闘技術によって
撩は数多くの生命を奪い、それ以上の幸福を傷つけてきた。
でもその能力によって、誰かを幸福にし
誰かの生命を守れれば、自分が生きている言い訳にもなる。
もちろん殺し屋という職業上、なかなか
奪った命と守った命の収支の釣り合いは取れないままですが。
だから「死に場所を探していた」というのも
ある意味『死刑執行』を待ち望んでいたのでしょうね。
――そう考えると、撩を幸福にしてしまってはたして良いものだろうか
 倫理的な後ろめたさが無くは無いのですが。

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