基本的に同じクールで、刑事ものや医者ものなど
同じジャンルのドラマがやっていたら、どれか一つに絞るようにしています。
なのでこの冬は正直けっこう悩みました
『ストロベリーナイト』にしようか『ダーティ・ママ!』にしようか
それとも両方やめて『相棒』を見ようか。
特に前者二つはどちらも女刑事ものということでネタかぶりまくり
『ストロベリーナイト』は人気小説のドラマ化ですし
『ダーティ・ママ!』はたまたま近所でロケがやってた
というのが見ようと思った最大のきっかけだったりする【笑】
なので、とりあえず初回は両方見ました
そのうちどっちかに絞ろうと。

そんなことが前にあったなぁ、と思ったら
『アリアドネの弾丸』と『ブルドクター』のときだ。
両方とも医者もの、しかも法医学ネタ。
結局、バチスタコンビは今回も捨てがたかったし
一方の『ブルドクター』も脇役に引きつけられて
どっちも最後まで見てしまいましたとさ。

で、今回もそうなるのかと思いきや
やめました、『ストロベリーナイト』。
世間ではこっちの方が評判が良くて
一方の『ダーティ・ママ!』では子連れ出勤の女刑事に
「んなやつぁいねぇだろ」との声が多いにもかかわらず。
でも、リアルだからこそ細部に違和感があってはいけないし
荒唐無稽だからこそ描ける真実もあるのでは。

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『ストロベリーナイト』で感じた最も大きな違和感は
これは店主も嵌った落とし穴だったんですが
ヒロイン・姫川玲子の過去のトラウマ。
――あそこまで復活できて、しかも刑事までやれてしまうのかと。
もちろん克服の度合いは人によってさまざまで
前に某所で紹介した、ライターとしてその問題と向き合っている方もいれば
未だに男性と話すこともできないという人もいる。
もちろんドラマの中でも、未だにそれに苦しみ続ける玲子のシーンがありますが
それが唐突というか脈絡がないというか。

そもそもこの作者は他にも『ジウ』や『武士道シックスティーン』シリーズなど
女性を主人公にした作品が多く、そのどれもが売り文句として
「ヒロインが活き活きと描かれている」とあるのですが、
実際にドラマ改善に原作を手に取った身としては、ホントにそうか?と。
「活き活き」といっても女性読者が共感できる「活き活き」というより……
何というか、あくまでCEの三姉妹のような気が。
男目線で描かれた『強い女性』像、
それは決してCHの槇村香ではないというか。
『ジウ』はドラマでしか見ませんでしたが
二人のヒロインがものの見事に紋切り型の対称形【爆】
“白”にしても“黒”にしても(名前すら忘れた)
「んな女、実際にはいねぇよ」と思いましたもん。

で、気になってプロフィールをちょこっと読んだら
デビューはラノベだったんですね、何だか納得。
普通の小説とラノベではキャラクター造形の仕方が違いますから。
云わば、絵画とイラストの違いのようなものでしょうか。
絵の場合、目の前にある対象物をありのままに描くのが基本
でもイラストは単純化かつデフォルメされたパーツの組み合わせ。
それが何百、何千というパーツの中から選ぶのであれば
モンタージュのようにリアルに描けるのかもしれませんが
そもそもの方法論がまるっきり違うわけで。
もしかしたら作者は、「有能だが心の奥底に弱さを隠した女刑事」
というキャラクターを造形するうえで、その「弱さ」を
どれがいいかな、と数ある候補の中からランダムに選んだのではなかろうか。
そういうトラウマを軽々しく扱ってほしくはないし
『姫川玲子』という人物の全体像の中でも
彼女の過去が宙ぶらりんなように思えてしまうのですが。

当然それは一生消えない傷を心に残す出来事ですから
その事件が良くも悪くも玲子という人物像の核になるはず。
でも、彼女の刑事としての際立った特性である『女のヤマ勘』
それも犯人の心理・行動まで予測してしまう読みの鋭さは
結びつかないどころか全く正反対ではないでしょうか。
自らも犯罪被害者である玲子にとって、犯罪者は憎むべき敵
しかも相手を同じ人間と見做さないところまで貶めて
やっと心の整理がつくぐらいの経験をしたはずなのだから
彼らと共感し合える余地はないのでは。

――それと、玲子の決め台詞である
「このヤマ、取るわよ」がどうも納得がいかない。
彼女にとって事件とは、上司やライバルたちを
出し抜くためのものなのだろうか。
刑事にとってはそれがメシの種であり日常なのだが
不運にも事件に巻き込まれてしまった被害者やその家族にとって
それは全くの非日常であり一生に一度あればいい
いや、一度も無い方がいいくらいの出来事なのだ。
それを刑事同士の勝負の点数チップに使っていいはずがない。
実際、被害者だった玲子にそれが判っているはず。

刑事ドラマというより『警察ドラマ』としてのリアルさに
こだわりたかったのかもしれないが、だからこそ
ヒロインのリアリティの無さがあまりにも救いようがなかった。
なので、初回で止めてしまいました。
本当は西島秀俊目当てでしたが、あまりフィーチャーされてませんでしたし。

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一方の『ダーティ・ママ!』
確かにありえない、現場に息子(1歳)を連れてくる女刑事。
でも「ありえない」を最初に打ち出してしまえば
そこから先はどんな嘘だってつけてしまえるわけで。
だってリアリティを追及しようがないですもん、最初の設定からして。
そして、「嘘」がつけるからこそ
「真実」がよりはっきりと描き出せるわけで。

風刺文学、というのは日本ではあまりメジャーではありませんが
要は荒唐無稽な奇想をもって今の現実を批判する、というもの。
一番判りやすいのは『ガリヴァー旅行記』でしょうか
あれは決して子供向けの読み物ではありません。
小人国も巨人国も実は当時のイギリス社会の鏡像
かの店主も大好きな冒険アニメのモチーフとなった空飛ぶ島は
頭でっかちなアカデミズムを誇張したものですし
その後の馬の国にいたっては、人間は馬より愚かな動物として描かれています。
また、作者のスウィフトは母国アイルランドの
人口増加及び食糧問題の改善のために
「貧しい子供を肥育して食用に供すべし」
とも書いています。もちろん本気でそう思っているわけではありませんが
そこまで極端なことを書かなければ、誰も植民地アイルランドの窮状に
耳を傾けてくれないという現実があったわけです。

で、『ダーティ・ママ!』
主人公・丸岡高子が子連れ出勤という暴挙に出た背景には
この国の子育て支援の不備があるわけで
実際、共働きのフルタイムでも母親の収入は
まるまる保育所とシッター代に消えるというケースも。
こうなると子育てしながら働くことはもはや『道楽』ですよね【泣】
それを無視して「ありえねぇ」とか言うな、特に男っ!!

もちろん「ありえねぇ」からこその嘘の尽き放題というわけで
最近の「組織としての警察」を描く『警察ドラマ』ではできないような
やりたい放題の違法捜査がかえって新鮮というか痛快というか
昔の『刑事ドラマ』ってこうだったじゃない、あぶ刑事とか。
それで余計なことを考えずに楽しめるってだけでもwinner。
ただ、銃を軽々しく携行するのは店主的にちょっとNG
『踊る~』の携行許可シーンの様式美に燃えてしまうと、ね。

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となると、水曜はデカ刑事になってしまうので
『相棒』もお休みだなぁ。
昨年はバイトで結局見ませんでしたし。

やっぱり薫ちゃんがいなくなってモチベが落ちた【泣】
右京さんより薫ちゃんの方が好きでしたから。
やっぱり「冷静・頭脳派・英国紳士」の右京さんの相棒は
「熱血・肉体派・ミリカジ」の薫ちゃんしかいないでしょう!
そうやって二人がうまく噛み合い補い合いしてたんですから。
それに、右京さんを「右京さん」と呼ばない相棒は『相棒』じゃないです。

なので、かつてはそれがあるから1週間生きていられるというドラマでしたが
今は普通に面白いと思うだけになってしまいました。
それでも、他のドラマと比べても見たいと思えるだけのものはありますよ
でも昔あんなに好きだったのと比べると、どうしても見劣りしてしまいます。

とはいうものの、今週はあの「ついてない女」月本幸子再々登場で
まんまとテレ朝と東映の策略にのせられてしまいましたが
来週は『ダーティ・ママ!』と天秤にかけてまで
見たいと思えるようなものじゃなかったんだよなぁ
……薫ちゃんじゃなきゃダメなんだよ。

コメント

nophoto
muff
2012年1月19日21:44

私は、ストロベリーナイトにしてみました。
ただ、巷で評判?な程原作の方・・・いいとは思えなくって。
ジウもテレビで1回目見てから原作を買ってみたものの・・・・買うほどでもなかったと、売り払いました。
なんかねぇ。苦手です。

ま、バーキンを部下にカバン持ちさせて、現場で仕切る女刑事なんて現実にはいないでしょうねぇ。ポルシェで駆けつける女刑事はありそうかも~と思えるんですが(笑)

蛟 游茗
2012年1月19日22:08

なんか見ててストレスがたまっていくような感じがしたんですよね【苦笑】
女刑事ネタでかぶりが無ければ、それでも見たんでしょうけど
ダーティ・ママのあのスッキリ感を覚えてしまうと、どうも……
リーサル・ウェポンとか大好きなもんでw

>ポルシェで駆けつける女刑事
それくらいぶっ飛んでないと、やっぱり【笑】

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