ゴヤ展行ってきました
三連休はバーゲンのハシゴのつもりが
昨日はプロ野球スポフェスがあるので自宅待機【笑】
まぁ、一日は家の仕事に当てないといけませんしね。
で、今日はバーゲン……と言いたいところですが、先約が。
母と上野で29日までやっている『ゴヤ――光と影』展に行ってきました。
もともとは母が新聞屋から貰ったタダ券を
店主が「行きたい!」とゴネてのデェトに。
――やっぱり心惹かれるんですかねぇ、同じ言語圏だけに【苦笑】
より具体的には、それより一世代後の中米のスペイン植民地が書きたくて
ゴヤと同時代ののことも勉強しないとと思っていました。

ゴヤといえば当時のスペイン王室のお抱え画家で
かの有名な『カルロス4世の家族』
http://www.salvastyle.com/menu_romantic/goya_familia.html
の作者であると同時に、その後のナポレオンによるスペイン侵攻を描いた
『 1808年5月3日、プリンシペ・ピオの丘での銃殺』
http://www.salvastyle.com/menu_romantic/goya_fusilamientos.html
の作者でもあります。
宮廷画家としての華やかな肖像画群と
その数秒後がありありと想像できる無残な戦争の記録
これだけでも展覧会のタイトルである『光と影』が
ありありと表れているかと。

でも、一見華やかそうに見える当時のスペイン宮廷も
一皮むけば……なんですよねぇ。
今回は『カルロス4世の家族』は来ていませんが
その習作段階といわれている末っ子のフランシスコ王子が
お出であそばされております。
ただし、この王子様が実は王の実の息子ではないとか。
実の父は宰相にして王妃の愛人であったゴドイ
あの『裸のマハ』『着衣のマハ』の注文主でもあります。
堂々かつどこか好人物然とした王の肖像画も
ご行幸あそばされておりましたが
頭は空っぽ、という悪評が立っていたようで
その王をないがしろにして政治がおこなわれていたとか。
なので、あの絵のような「絵にかいたような」
ロイヤルファミリーではなかったんですよ、と
今回来ていない絵の話はそのくらいにして。

今回の来日展の目玉はやはり『着衣のマハ』
ヌードの方はプラドでお留守番していますが
(さすがにアレは税関を通しづらかったのか)
あっちの方がどこか不自然というか
後で顔だけ描きなおしたような『アイコラ』状態なんだとか。
ちなみに「マハ」というのは当時の下層社会で
独特のファッションとカルチャーを持っていた「伊達女」
戦前の「モガ」みたいなものというか
今の日本でいうところの「ギャル」ですかね【爆】
男性の場合は「マホ」=ヤンキーといったところでしょうか。
本当にセクシーな女性は服を着てても充分エロい
普通、ヌードの場合でも肝心なところはなるべく見えないように
脚は内股にクロスさせるのがお約束でしょう、『ヴィーナスの誕生』のように。
でも『マハ』は股を開いてないものの、すとんと伸ばしたまま。
なので『裸のマハ』は初のヘアヌードとも呼ばれているそうな。
しかも視線といいポーズといい「どうぞいらっしゃいな♪」
言ってるようなもの!
まーさすが情熱の国スペインだこと【謎】
マハのモデルについては注文主ゴドイの愛人だとかいろいろありますが
その一つがゴヤのパトロンで一時は男女の仲であった
アルバ女公爵カイエターナだとかじゃないとか。
その称号と、奇しくも同じ名を受け継ぐアルバ女侯爵カイエターナが
昨年、世界のマスコミを賑わせたのをご存知の方もいるかと。
スペインで、いや世界で最も多くの称号を持っておられるという
当代の女公爵(85)が25歳下の恋人と3度目の結婚をするために
全財産を相続人にくれてやったんだとか。
いやはや、直系の子孫というわけではないようですが
さすがアルバ女公爵カイエターナ、いや現代の『マハ』というべきでしょうか。

――さっきから余談が過ぎて申し訳ないです。
ここからが今日の本題(たぶん)
さっき、ゴヤの代表作として『1808年5月3日、プリンシペ・ピオの丘での銃殺』
を挙げましたが、これも今回は来ていません。
ただし、これと同じ主題の版画集『戦争の惨禍』から
国立西洋博物館所蔵の品を含めて数多く展示されています。
本来はナポレオン率いる侵略軍と戦った英雄的行為を
記録するべく絵筆をとったはずのゴヤだったのですが
彼が戦禍に遭った故郷で見たのは、総てを破壊し尽くす戦争の不条理。
版画では『1808年5月3日』ほど劇的ではないにせよ
より生々しく、目を背けたくなるような戦争の様子が
ありありと描かれていました。
あの絵のように仏軍に銃殺されようとするスペイン人
逆に斧などで返り討ちにされるフランス兵
女性も兵士たちに凌辱されようとしている姿もあれば
逆に男がみんなくたばった中、一人で大砲を放とうとする姿も。
ちなみに、スペイン独立戦争では正規軍だけでなく
市民も銃を持ってフランス軍相手に立ち上がり
そのとき生まれたのが『ゲリラ』という言葉だったとか。
しかし銃殺のみならず絞首刑、さらには裸にひん剥いての
百舌鳥のはやにえ状態(という言葉で察してください、それ以上は……)
こんな惨状を実際に目にしたのなら
精神に異常をきたしてもおかしくはないはず。
そしてそれが晩年の素描帖や版画集『妄』
一連の“暗い絵”だったのかもしれません……

そんな新年にふさわしからぬ(母に言わせれば
「今年はめでたくない新年だから」)
展覧会の、さらに気の滅入る後半の
一筋の救いだったのが宗教画『無原罪のお宿り』
……っていいWeb上の画像が無いので
今日のお土産のカードミラーより。
これはまだ戦争前の絵だったんですが、
ミュージアムショップのグッズ売り場で
この絵のミニフレーム¥1,000也が売っていました。
そこでふと「撩だったら思わずこれ買っちゃうんじゃないか」と。
神様なんて信じない冴羽撩でしょうけど
宗教心を越えた信仰というか、理屈抜きで
こういった絵に惹かれてしまう心もあるんじゃないでしょうか。
そんな女々しい撩はサエバスキーの皆さま、嫌いですか?

それとは別に、個人的に興味を引いたのは
旧称『アンダルシアの散歩道』こと『マハとマントで顔を覆う男たち』
……ああ、これもいい画像が無い。
「ジプシーの男女がデートの途中、道端の他の男が
女に向かって花を投げた(=ナンパですな)
それを連れの男が咎めようとしているところを
女が、他に仲間が二人いるから気をつけるように言っているところ」

と、文章で説明すればそんな感じになります。
まさに一触即発、とCH好きとしても思うシーンなのですが
それが説明では「喜劇の主題」などと関連づけられていました。
店主の専門はそれより100年前の演劇だったんですが
確かにそういうシチュエーションからのええかっこしいの男たちの
どーたらこーたら、っていう話も少なくなかったような。
……まだその頃は平和な時代、だったんでしょうか?
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