映画はすっぴんで見に行けるけど
舞台は一応気合い入れて見に行くことにしています。
だって、ライヴもそうですが
同じ空間に憧れの俳優さんがいるんですから。

ということで、見に行ってきました
上川隆也『隠蔽捜査』@1010シアター。
今日が東京公演の千秋楽だったんですが
それを狙ったわけでなく、うだうだしていたら
もうこの日しか見に行ける公演が無かったというだけ。
今回はシリーズ第2作の『果断・隠蔽捜査2』と
交互公演という形でしたが、2はドラマで見たのでと
こっちを見に行くことにしたんですが、
1も見ておけばよかったとちょっとした後悔。
やっぱりこういうものは見比べた方が
面白いに決まっていますから。
まして舞台という映像に比べて制約が大きい媒体で
どうやってこの世界を再現するかというのに興味がありましたから。
そもそも警察小説を舞台化できるのかと。

でも、ここで描かれているのは『現場』ではなく『会議室』【苦笑】
そこでのエリートという選ばれた、限られた面々による
密室劇という世界であれば、まさに演劇の得意とするところ。
そしてふと、こんな世界観にデジャヴが
――これは『ある日僕らは夢の中で出会う』だ。

『ある日僕らは~』、本作の演出を手がける高橋いさを作品
そして我がT女子高演劇部の上演作でもあります。
4人の誘拐犯と彼らを追う4人の刑事の物語ですが
彼ら以外の被害者やその家族の存在はカットされていますから。
ちなみに俳優たちは一幕ごとに刑事と誘拐犯を演じ分けるという
普通に考えれば高校生にはめちゃくちゃ難しすぎる台本なのですが
(しかも全員男なのに演じているのはもちろん全員女子)
その点も、2つの演目を交互に演じるとともに
役者によっては2つの演目で違う役を演じるという
『隠蔽捜査』&『果断・隠蔽捜査2』と相通じるものも。

『隠蔽捜査』で「舞台外」の事柄を物語るのは
主人公・竜崎(上川)の友人で刑事部長の伊丹(中村扇雀)。
ステージの構造としては、舞台上のさらに一段上が「舞台」で
その下の、いわゆる平舞台が狂言回しのスペース。
この辺もメタフィクションを得意とする高橋氏ならでは。
ただ、語りと演技の二重構造だったらよくある手法
夜、自宅で平舞台上(=別の空間)の伊丹からの電話に
呼び出された竜崎が、でも出かける支度をしようにも
奥さんがすでに舞台上から退場、
そこで下にいた扇雀丈がジャケットを上川さんに渡すんですが
こんな演劇でしかありえないシーンに
さすがいさをちゃん!と感嘆してしまいました。

で、肝心の上川さん。
『遺留捜査』の糸崎とは真逆の
低く重い声でニコリともしない役柄。
うーん、一歩間違えば一本調子になりかねないキャラですが
これができるのは生真面目キャラを演じてン年の上川さんならでは。
TVではアクの強い役柄が回ってきがちな舞台出身者の中で
例外的に『いいひと』を演じ続けてきてますから。
一方で、奥さん役はTVでは原田美枝子さんが
落ち着いた感じで演じていましたが
(竜崎役が陣内孝則だもん、腰の軽そうな竜崎だなぁ;苦笑)
舞台版の斉藤レイさんは明るくもしっかり者といった感じで
堅物な上川さんといいアンサンブルでした。
そして、共演者といえば上川さんにとって
キャラメルボックスの同期の近江谷さん。
『隠蔽捜査』では上川さんの部下役ですが
『果断』では上川さんをいびる上司役ということで
この辺は面白い見比べポイントだったと思います。

さて、でもなんでテレ朝制作という話題の舞台『隠蔽捜査』が
シアター1010なんて場末とはいいませんが
都心からは少し離れた劇場で上演されることになったのか
(おかげで店主にとっては見に行きやすかったのですが)
少し気になるところではあったのですが、
そもそもこの物語の発端が、綾瀬で起こった
ある陰惨な少年事件(といえば現実のアレと思い出す人も多いでしょう)
そして第1、第2の事件現場がその近くという
観客を劇の世界に引き込む仕掛けの一つだったんじゃないかと。
云わば、CH映画版を新宿で見るノリですよね。
この感覚は地方公演ではちょっと味わえないのが残念ではあります。

さて、CHといえば……
劇場の入り口によく関係者からのお花が飾ってありますが
なぜか上川さんあてに北条センセからのお花が贈られていました。
上川さんがマンガやアニメがお好きというのは
一部ではよく知られていることではありますが
いったいどういう接点があったんでしょうか?

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