これも一種のアバター

思い起こせば、何かと制約の多い人生を送ってきたような気がします。

地理的な条件や経済的なものや店主個人に由来するものなどなどで
他人の半分とまでは言いませんが、１/３ほど
当たり前に経験したであろうことを経験せずに
今まで来てしまったんじゃないでしょうか。
公共交通機関が全くと言っていいほど発達していない、すなわち
免許を取って車を手に入れるまで移動の自由が保障されない田舎に生まれ
「うちは貧乏だから」という親の口癖を真に受けて育ち
運動オンチだったり、顔も良くなかったり
引っ込み思案で小学生にして人間関係が破綻したり
気がつけば外の世界を知らないまま大人になっていました。

一方で、好奇心だけは人一倍旺盛でした。
知りたいこと、やってみたいことは山のようにありました。
自分には全く縁の無いものと諦めることはできませんでした。

諦められない想像好きな子供はどうしたか。
製薬の中で好奇心を満たす方法、それが物語を作ることでした。
実際に書くことはなくても、頭の中にキャラクターを思い描いて
彼ら彼女たちに自分の果たせなかった願望を叶えさせることができました。
音楽、スポーツ、ファッション、クルマ、そして恋愛。
本屋でも、作りもしない料理の本を眺めたり
行きもしない街のガイドブックに目を凝らしたり
ファッション雑誌の着るはずもない服に見入ったり、
その代わり、私生活は悲惨なものです【爆】
総ての願望は空想で満たされてしまいましたから。

毎日、単調な日々の繰り返し
今さら外に出て行こうにも、手を引いてくれる人も無く
狭い世界で生きていく他なかった店主にとって
空想することだけが唯一、自分の中のバランスをとる方法でした。
自分のいる世界には何もなくても
自分の作り出す世界は総てが満たされている。
だから正直、空想を止めろと言われたら
店主は狂うかもしれません。
狭い世界では到底満たされるはずのない好奇心の
行き場を失ってしまうのですから。

ですから皆さま、店主が実際に経験もしていないことを
その道のマニアのような顔をして書き綴っていても
「ああ、また知ったかぶってるよ」と苦笑いでスルーしてください。
本当は、本物の「その道のマニア」になりたかったんですから
せめて空想の中だけでも、それを叶えさせてくださいませ。