いよいよ始まりましたねバンクーバー五輪、って今さらなんですが
今回は幸運にも開会式を生中継で見ることができました。
五輪の中で一番好きな種目が「開会式」
開会式を見られなかったら半分見逃したも同じという
筋金入りの開会式マニアです【笑】
思い起こせば88年のソウル五輪で授業中に開会式の中継を見せられて以来、
もちろん録画中継すら見られなかった大会もありましたが
毎大会ごとに開会式はチェックし続けてきました。
開会式には様々な段取りといえるものがありますが
その一つひとつごとにベストの大会、ベストの開会式というのがあるわけで
たとえば隠れた見せ場である『オリンピック賛歌』独唱だと
94年のリレハンメルで民族衣装姿のお姉さんの
(一家に一枚はCDがあるというノルウェーの国民的歌手らしい)
澄んだ歌声が印象的でしたし、
やはり一番のハイライトである聖火台の点火は
92年バルセロナのアーチェリーの矢の先につけての点火が
シンプルですが映像的にもドラマティックで
あれを超える点火ギミックはしばらく出ないでしょうね。

今回の開会式で一番印象に残ったのは
カナダ全土の先住民による歓迎のダンスでした。
なかなか北アメリカの先住民、それもカナダとなると
知る機械が今までありませんでしたが、
あんなに様々な部族がいるということ自体、初めて知りました。
ちょっと余談になりますが、英語では「部族」という言葉を
“nation”という単語で表わすんですね。
“nation state”という言葉だと、近代の国家概念である
一つの、または複数の民族がまとまって一つの国を為す『国民国家』になりますが
“nation”も“state”も実は『国』を指す単語。
ですが、“nation”が日本のように特定の民族がまとまった『くに』である一方
“state”の方はむしろ政府や議会といった、近代的な国を成り立たす
『国家』というような側面が強い言葉かと。
なので“nation state”という言葉で、そういった国の
『中身』と『箱』を表しているといえます。
(その概念自体がすでに壊れつつあるというのはまた別の話で)
だから先住民の『部族』というのもプリミティヴな『くに』である点では
“nation”なんだなと思いました。

あと、先住民とヨーロッパ系入植者の混血である
『ネイティ』と呼ばれる人々がいることを初めて知りました。
いわば南米でいうところのメスティソみたいな人々なんでしょうか、
先住民ともヨーロッパ系とも違う独自の文化を持っているそうで
カナダではそれ自体一つのエスニック・コミュニティとして扱われてるそう。
もちろん歓迎の踊りを披露してくれたのは、本物の先住民の皆さん。
衣裳だけ着せて中身は漢族なんていう北京五輪のようなことはしてません【爆】

ですが、こういった伝統をむしろ現代的に見せたのが
今回のアトラクションの一つの特色だったんじゃないでしょうか。
ショーの最初に、シャーマンらしい人に率いられた真っ白な衣装の人々が
雪と氷の大地を表しているであろう真っ白な舞台に登場しましたが
よく見るとキャストは先住民系や東洋系(見た目ではほとんど変わらない)
ばかりではなく、多数派のヨーロッパ系もいましたし
衣装も実はけっこう現代的なデザイン。つまりは彼らは
何も最初にカナダにやってきた人々ばかりではないということでしょうか。
あと、開拓者の収穫の祭りらしいシーンでは
フィドルを掻き鳴らして舞台全体がダンスを繰り広げてましたが
その衣装が、まるでヴィヴィアン・ウェストウッド風というのでしょうか【笑】
ヨーロッパの伝統的ファッション×パンクといった感じで
しかも音楽やダンス(タップ?)といい、ダンサーの身に付けているモチーフといい
なぜか妙にケルトっぽかったのが印象的でした。

でも、店主にとって開会式のメインイベントは華やかなアトラクションではなく
何といっても入場行進。
世界地図を手元に置いて(このためだけにあるといっても過言ではない)
ギリシャから順にどこの国だか一つひとつ突き合わせていくのが
けっこう楽しくもあります。特に開会式の楽しみを覚え始めたのが
ちょうど冷戦終結で新しい国がぼこぼこ生まれた頃だったこともあって
見慣れない国名と国旗を見ながら一つひとつ在り処を覚えたものです。
まあ、冬季五輪ですから夏ほどいろんな国が出てないのが残念ではありますが。

最後に、N○Kにちょっと一言。
せっかく生中継と録画中継をやるんだったら
録画の方ではぜひとも字幕をつけてほしかったです。
組織委やIOC会長の挨拶のような、すでに文面が判ってるものは
アナウンサーが同時通訳的に訳をつけてくれましたが
歌詞や詩の朗読などにも日本語訳があればもっと楽しめたはず。
せっかく5時間のインターバルがあったんですから
それくらいしてくれたってよかったのに・・・
そうすれば、生で見た人ももう一度見てくれるかもしれないし
結果、視聴率が稼げたかもしれなかったんですから。

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定点観測up済みです。
日付を挟んで二つしました。

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