『サイボーグ009』熱に浮かされてからはや一月。
いつもの一過性のマイブームのように、自然にその熱が冷めてしまったというわけではなく、そんなことをやってたら本業にもサイトの更新にも差し障る、というわけで強制終了してしまったのが実際のところです。なので今でも、009島村ジョーの哀愁を帯びたその横顔を目にするたびに、胸がキュンと締めつけられてしまいます。

もちろん『サイボーグ009』といえば石ノ森章太郎の代表作であり生涯をかけた大作であることは言うまでもありませんが、それを飛び越えて日本の漫画界およびフィクション全体に及ぼした影響も大きいはず。
なにしろ『サイボーグ』という言葉自体、ゼロナイによって科学者やSFファンのみならず、日本のお茶の間に浸透してったのですから。ということはゼロナイがなければ攻殻機動隊も最終兵器彼女も無かったわけだ【爆】

そんな小康状態にあった店主でしたが、ETV特集『石ノ森章太郎 サイボーグ009を作った男』を番組欄に見つけた時には我を忘れましたよ。ただ、裏番組の映画も見たかったのでビデオに録って、親のいないうちにこっそり見ました。
店主がハマったきっかけの『とことん!石ノ森章太郎』ではゼロナイトークが聞けなかったので、その点を期待してたんですが・・・
超ハイブロウ。BSアニメ/マンガ夜話の延長上を期待してはいけませんでした。何しろ語る人が養老孟司先生だわ姜尚中氏だわ、名越康文はサブカルネタには斎藤環かどっちか出てくるから判るけど【爆】
そんなわけで、いままで同人誌的興味とか『萌え』とかでゼロナイを語ってたのが恥ずかしくなるような番組でした。うーん、話が深過ぎるというか、店主とはまったく方向性が違ってて総括できないんですけど。
でも、なんでここまで『サイボーグ009』にハマったかという理由を理屈で考えてみると、彼らは店主の萌え属性の なんて用語使ってしまうのも何なんですがハイブリッドなんですよね。人間であり機械でもある。ということは人間でもなければ機械でもない。でもここにもう一つの意味を付け加えるなら、機械より強く、人間よりも優しい、それが彼らサイボーグなのではないかと。
なので姜先生が彼らのハイブリディティについて語ったとき 彼も在日=日韓のある意味ハイブリッドですもんね 妙に腑に落ちました。

あと、原作漫画を効果音&吹き替え付きで読めるというのはなかなか新鮮でした【笑】でも店主@声ヲタとしましては、声優陣の使い回しはどうかと。
江森浩子さんは赤ちゃんから大人の女性まで演じられる、そういう意味では使い勝手のいい声優さんですけどね。でも001=003ってのはすぐ判りましたよ【爆】
あと、ヨミ編ラストはアニメ(平成ゼロ)で見たかった・・・
原作の行間ならぬコマ間がうまく表現されてましたよね、あれは。

そして、やっぱりハリウッドが狙ってるのか。
確かにあの国際色豊かなメンツを実写化するとしたら、海外資本で作るしかないですもんね。でも最近日本アニメのハリウッド化ってカスですもん。DBなんてキャスティング段階で失敗目に見えてますし。
アメリカさんに『サイボーグ009』の持つ深い悲しみや虚無感なんかを理解し表現できるのか、その点さえクリアしてもらえれば逆に興味はあるんですけどね。

今回のメインはどちらかといえば天使編&神々の戦い編、つまり未完の完結編。
その辺のところは『大きな物語』が苦手な店主にはどうしても語りづらいところがあります。むしろ店主の好きなエピソードは短編の、それも誰も赤い防護服(というんですよアレは、ええ)を着ないようなお話なので。短いからこそ切り口は鋭いですし、サイボーグ戦士たちの日常を垣間見れるという二次創作的興味もあります【笑】
ところで完結版は石ノ森先生の遺した構想メモを元に小説として出版されてますが(第一部/三部作が既刊)ちゃんと完結するんでしょうか?二度あることは三度ある、またも未完ということはありませんように。

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サイボーグ絡みでいくつか。
自作のサイボーグネタ用に買った『サイボーグ・フェミニズム』ですが
これを機に読み直すと、ゼロナイに当てはまるところもちらほら。例えば、
サイボーグは、エデンの園を夢見ることもない。・・・
サイボーグならば、そのような黙示的プロセスじたいを破壊できるのではないか。
この辺は完結編を意識させますね
彼らが国家社会主義をはじめ軍事制度や家父長的資本主義の私生児である・・・。
しかし、私生児たちは・・・自分の親たちに不義理を働く。
父=ブラックゴーストですね。でもギルモア博士はどうなの?
『サイボーグ・フェミニズム』ダナ・ハラウェイ著、巽孝之・小谷真理訳

この本では3つのアメリカのサイボーグSFが挙げられてますが、まさかゼロナイも読んでたんじゃないでしょうかハラウェイ教授?

ついでに。
『僕の彼女はサイボーグ』なんて映画が公開されるようですが
ありゃサイボーグじゃないでしょ、いくら生体材料使ってても。
サイボーグは語源的に「cybernetic organization」、つまり電子制御と有機体のハイブリッドなわけですが、韓国はともかく日本では、言外の意味として『元・人間』という定義が加わるわけで。
人間の心と機械の体、その相克こそサイボーグ、なんですけどねぇ。

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