最近オカンが「あちちちち」と言いながら熱い炊飯器の内釜を流しに持っていくとき、決まって「お前はもう死んでいる」と言っています。判ってるのか判ってないのか、娘が神谷明ファンだということを【爆】

そんなオカンが借りてきたのがこの本。
つーか大藪春彦ですよ!『蘇える金狼』『野獣死すべし』日本ハードボイルドの超ビッグネーム!!CHに限らずハードボイルド・コメディというものに心惹かれる店主ですが、そもそも元ネタの正調ハードボイルドを知らずしてコメディのツボも判るわけがあるまい、ということで大藪初体験です、実は。

初出が1963年、ということでこっそり『Promise〜遠い過去、そして未来』の時代考証の参考も期待して読み始めたのですが、ものの見事に当てが外れました。
っていうか、かなり現代の読者にとってもディテールの違和感なく読めます。
マンションとか自動車とか、これって実は東京オリンピック前の話なんですよ!なんてことは「淀橋浄水場」なんて出てこないと判らないくらい。
(ここでもやっぱり新宿の地名に反応してしまう店主)
もちろんハードボイルドというジャンル上、当時の最先端の風俗の更に半歩先を行った描写だったのかもしれませんが。

しかし、店主にとって違和感ありありだったのが
ここに描かれている私立探偵稼業があまりにも(店主にとって)荒唐無稽だったこと。そもそも探偵がチャカ持ってるわけないだろ?
しかもこの津島という探偵、やり方がかなり荒っぽくて
しょっちゅう銃を抜いてはときには死人すら出してますし
女性に対しては、早い話が007か『特命係長』ですし【爆】
そして語り口が嫌味なほど饒舌。たとえばお金(紙幣)のことを
「日本銀行が発行した紙切れ」なんて言ってますし。うげぇ。
コレって、良くも悪くも一般人が抱くハードボイルドのイメージですよね。
翻訳ものは確かにそんな感じかもしれませんが、和製ハードボイルド探偵小説では稀な方で(そのジャンル自体稀かもしれませんが)
むしろ『キィハンター』『Gメン’75』あたりから結果的には『あぶない刑事』へと受け継がれたTVドラマ的世界のような気がします、店主としては。
むしろ店主の好きなハードボイルド(コメディ含む)は言わば『貧乏私立探偵もの』というべきジャンルで、事務所の家賃の支払いにすら苦労するような貧乏探偵が
我が冴羽商事も貧乏ということに関しては右に出るものは無いが
自社ビル持ちなので家賃の心配だけはしなくていいんだよね。
毛利探偵事務所も同じようなものかもしれない。

日本における私立探偵の制約の下、地を這うような地味な活躍ながら事件を追っていく、というストーリー。もちろん文体としてはかなり抑制された感じで。
と言うと派手なアクションで事件解決、というCHとは毛色が違うかもしれませんが、とりあえずハードボイルドってのはカッコ悪くてナンボ!というのが店主のポリシーです【笑】

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