今週からすでに春休みですが、今日は久々に出稼ぎ。
修士論文の発表会があるので、昨年店主も通った道ということで出席することに。今年は文学系では2人でしたが、その二人とも時代としては19世紀を、それも文化史的考察を含めて論じているということでかなり『蛟 游茗』的に大収穫でした。

まず店主とは同い年のOさんのテーマはラドクリフ・ホール。
イギリスの今世紀はじめの女性作家でレズビアン文学やってる人なら知らない人はいない、という大物。
(ちなみに店主の大学はそっち系の研究でも有名)
彼女が取り上げた小説の舞台は19世紀の末なのですが、そこにガヴァネス(住み込みの女性家庭教師)が出てくるということで1章を裂いてガヴァネスについて論じてました。ガヴァネスですよガヴァネス!同じ時代ですが店主はメイドさんよりもこっちの方が萌えです【爆】以前「さすらいの魔女っ子ガヴァネス」なんてネタ考えついたこともあるほど。イメージほどおちゃらけたネタではありませんが。
ちなみにヴィクトリア調の社会風俗を調べたくてグーグル等で『ヴィクトリア朝』と入れてみたら
一番系統だってたサイトがメイド考察サイト。やっぱりその手の「萌え〜」なマニアは多いのかしら。

といってもかいつまんだ発表ではガヴァネスというのは働かざるを得なくなった中産階級の独身女性にとって唯一、品位を保ったままできる職業などとちょっと調べれば判るようなこと中心でしたが、せめて参考文献リストを見せていただきたい・・・。

もう一人の後輩Hさんはメルヴィルの短編『Bertleby, the Scribner』
これは1850年代のニューヨークが舞台なんですが、やはりその当時の時代背景(時計の普及と時給労働の進展、当時の移民事情など)を丁寧に論じてました。
こういうテーマでは今まではどちらかといえば精神分析だクィア批評だと新しい批評ツールを用いて分析するのが一般的でしたが
こういう風に時代背景を丁寧に論じてその中でテキストを位置付けしていくという一見古臭いニュー・ヒストリシズムがやっぱり力をつけているのでしょうか。
かくいう店主も今度の沙翁祭ワークショップでは『ペリクリーズ』を17世紀の結婚と売春を論じながら分析する、という風にやるつもりなのでこれからせっせとお勉強しなければ。

しかし、論文書きの勉強とネタ書きの勉強と、どっちが進むかというとそりゃ後者の方で。買ってきた本は当然ゆーめい的ツンデレホームズ『My Dearホームズ』参考文献。
ちなみにこのタイトルはシャーロック・ホームズといえばコレ!という名ゼリフ「初歩的なことだよ、ワトソン君」から。英語だと‘Elementary, my dear Watson.’なんですよね。ここからお判りのとおり、‘my dear’には字面ほど親密な意味はありませんが、あえて日本人的イメージ重視ということでこんなタイトルにしてみました。
この手の本の宝庫といえば大学図書館なんですが、そこはもう宝の山!でした。
店主が今一番知りたい「ヴィクトリア調の女優の『なるには』&日常生活」及び「当時のロンドンの独身者住宅事情(特に女性)」について解決してくれる史料は見つかってませんが、総て抜き書きたいほど資料の充実している文献もありますし、中には一冊まるまるコピーしたい!というほど図版が揃っている本も。
せめて在学中に何らかのスタートを切らねば。
こういう風に調べてて楽しいうちが花なんですがね【笑】

コメント

日記内を検索