店主の好きなアニメやドラマは大抵メインキャラの男女比が半々なのに気がついた。厳密に言えば3:2くらいだろうか。この数字は実社会における女性の進出比率、つまりまだまだ半分とまでは行かないけれどそれに近いところまでは来ている、というのを反映しているのではないか。
『戦闘美少女の精神分析』でパトが紅一点系に分類されているのには驚いたが、
パトレイバーには主役の野明だけでなく香貫花クランシー、熊耳武緒、そして南雲しのぶという個性豊かな女性キャラが揃っているではないか。
この女性比率の高さはロボットもののなかでも注目すべきだろう。
そしてそれぞれ、太田とくっつけるのは香貫花かおたけさんかという違いはあれど、男性パートナーとカップリングが成立している。
店主の場合はコミック版から入ったこともあり、太田×熊耳推奨です。
おたけさんの傷ついた心を救うには功ちゃんの単純さくらいがちょうどいいはず(?)

その次にハマったケイゾクではやや三角関係的様相を呈しながらも
メインのマヤシバだけでなくマダアヤ(斑目×彩)というカップリングも並行して成り立っている。
そしてCHでは撩には香、海坊主には美樹、ミックには結局かずえ、
死んじゃったけど槇村には冴子と最終的には綺麗にカップリングが整理された。
そして麗香やかすみなど、逆に女性余りの傾向をみせているのは面白い。
もともと“パートナー以上恋人未満”な男女ペア好きの群像劇好きなので
結果的にこういう複数のカップリングが絡み合うような展開が好みとなるのだが
この場合、メインである男女の恋人未満な関係、そして男同士のホモソーシャルな関係性はオフィシャルで描けても
女性同士の関係性ってなかなか描ききれていないような気がする。
それはやはり彼女たちが“紅一点”を引きずっているから、“紅一点”がただ単に“紅二点”であり“紅三点”になっただけだからかもしれない。
それでもパトでは『あんたの勝ち!』やコミック版でのおたけさんの押しかけ同居などでその辺の関係を描こうと試みており
(ちなみに二次創作においては野明がしのぶさんをどう思ってるのか、
しのぶさんが野明をどう考えているか、あたりがツボ)
ケイゾクでは柴田と彩が、単に真山を好きな恋敵だけではない関係性を示しているといえる。
そしてCHでは、例えば香と美樹の信頼関係などにおいてかなり成功して描けていると思う。(これがAHではまったく消えてしまうのだが;泣)
テクニカルタームで言えば『シスターフッド』というのだろうか。
二次創作、オリジナル問わず店主の創作において結構な関心ごとの一つだ。
男女や男同士の絆だけでなく、このような女同士の絆や
さらに斜めの関係、つまりカップリング外での“男と女”ではない異性間の関係
(ex.たいちょとのあ、冴+冴)という多様なネットワークで成り立っている世界というのを描いていけたらと思っている。
例えばCH二次創作で香と美樹の“姉妹弟子”コンビ(だって両方とも師匠は海坊主なんだから)もいいのだが、女性コンビで一番読んでみたいのは
実は香&冴子だったりする。
でもこの二人、原作では(特に初期)かなり反目しているというか実際のところは香が一方的に冴子を毛嫌いしているところがあるのだが
この二人の対立関係はまさに「女の敵は女」を体現していると思う。
古代ローマから綿々と続く「分断して統治せよ」じゃないが、男たちは女を“外の女”“内の女”に分断して反目させて支配してきた。
本当は「女の敵は男」なのだが、香と冴子、このかなり毛色の違う二人の女性のコンビネーションはかなり面白いものになりそうだ。
ウチの場合は冴子にはちゃんと槇ちゃんがついているので、“義理の姉妹”な二人のコラボが見られそうだ。
でも、そんな店主の懸念からも判るように女同士の関係ってそれぞれ別にステディな男性がいないと成り立ち得ないというのが難点である。
さらに一歩踏み込んで「男を共有する関係」というかなり攪乱的な選択肢もありうるのだが、少女漫画的ロマンティックラヴ・イデオロギーにどっぷり使ってしまった店主にはまず描けない世界だ。
だが、「物わかりのいい正妻&愛人」という一見男にとって都合のいい幻想のような関係を通じて、そんな男の浅はかさを笑うような連帯も可能だと思う。

コメント

nophoto
mi
2006年9月25日22:40

 ども。3年ほど前にこの本を読んだことがあります。タイトルに惹かれて。笑い転げながら読みましたよww游茗さんほど、深く考察もせず…というかアニメに関してそこまで知識が無かったので、わかる部分しか読んでなくて。でも面白かったです。戦隊ものの紅一点は大抵、科学者を肉親に持つ…とか。

>香・美樹、香・冴子
 恋愛でも仕事の技術でも先輩で、お姉さん的な存在になってる美樹ちゃんと香の友達のような姉妹のような関係が好きです。
一方で香と冴子は、いわば義理の姉妹のだったかもしれない関係のはずだけど、その割にして初共演は遅めですよね。そう考えてみると、一緒に戦ったオカマボスの回も何だか象徴的な話に思えてきます。あのときCHにおける彼女らの関係が固定したような。単に作者の都合だったりして。

>男を共有する関係
というと、真っ先に「源氏物語」に思い当たってしまいますw 紫の上と明石の君なんてスゴイ関係です。紫の上だって正妻じゃありませんが正妻っぽいポジションで、明石の君の娘を育てるのですから。やっぱり男にとって都合のいい関係ですよね。本人達は苦しいわけですが。

前よりアニメの知識が増えたので、読み返してみたいと思います。
またこういうレビュー期待してます♪

蛟 游茗
蛟 游茗
2006年9月26日10:08

どもども、以前立ち読みで読んだことはあったんですが『戦闘美少女の精神分析』が♀ヲタとしてちょっと物足りなかったので、フェミで読むならこっちも読んでおかねばと思い買っちゃいました。
いっときは紅一点という設定も好きだったんですが、そのうち「女は一人いれば職場の花だが二人いるとお邪魔虫、三人いると姦しい」という現実が見えてしまって・・・。

>香&美樹
これって意外と原作でも描きこまれてるんですよね。しばしば香の気持ちを代弁してくれたり、ソニアやミックが出てきたときも二人のために何かと手を回したりと、二次創作でも使いやすいキャラです。
>香&冴子
この二人の関係、特に香の冴子観がどう変化しているか読み進めていっても面白いかも。オカマボスの話やアニメの21話なんかでは思いっきり嫉妬してますよね。そんな香もかわいいのですが。

>男を共有する関係
正室と側室というか、昔の話も好きなのでそういう関係にぶち当たることも多いですが
単なる大奥ばりの嫉妬で終わらせたくないなとは思ってます。
例えば映画『悪魔のような女』なんかのような。妻と愛人が結託して夫を殺しちゃうお話です。これくらいの連帯もありうるかも。

私信:キリリクですが、タイトルまでは思いついたんですがネタの神様が下りてきません【泣】ので、もう少々お待ちになって。
なんかイメージ的に秋っぽい感じの絵なので、秋本番までには。

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