風呂くみマエストロ

昨年来から調子の悪かった我が家のボイラーがとうとう末期症状。
冬場は元気なんだけど、夏になるとどうもダメみたい。何で季節限定なんだろ
ということで18年目にしてとうとう買い替え。
ついでに最近流行りのオール電化、『エコキュート』にしてしまおうというわけ。
近頃の給湯器はお利口さんで、自動で設定した温度のお湯が設定した量だけ出てくるらしい。が、それじゃつまらない。
何を隠そう店主、風呂くみにはちょっとばかし自信をもっているのだ。
店主のできる家事といえば掃除や洗い物など、ほかの誰でもできることばかり。
しかし風呂くみだけは違う。
長年の経験から蛇口の微妙な調節で絶妙の湯温を作り出し、
それとタイマーを組み合わせることによって適量のお風呂とする。
そして季節によって温度を微妙に調節しなければならない。つまり夏ぬるく、冬は熱めに。
だから一番風呂で埋めず沸かさずに入れた日は喜びも一入なのである。
これが、別の人が入れると熱かったり少なすぎたりするのだから。
しかしエコキュートを入れてしまうとなるともはや匠の技は必要なくなってしまう。
はっきり言おう、風呂くみは数字じゃない。
お湯の温度も量も、実際に目で見て触って決めているのだ。
年がら年中決まった温度で入れてるわけじゃない。
ああ、こうやって人間の微妙な感覚というのは全て数値化されて、そして失われていくのか・・・。
おかげで店主は不良債権に逆戻りである。こんな店主に愛の手を。