2006年の視点から

2006年6月10日 TUBE
あえて、「これ以上ハマったら大変なので」昔のアルバムなどは買わないようにしているのだが、『湘南』と『浪漫の夏』は持ってるくせにその間が無いのはおかしいだろう、ということで図書館で借りてきました。タダで。
おそらく、店主の抱く感想は14年前リアルタイムで聴いた人とはまったく違うと思う。その14年後のTUBEを知ってしまっているからだ。
このアルバム以後のTUBEの歴史を考えると、『納涼』の持つ意味はかなり大きいと思う。なぜなら、ここで初めてトライしたさまざまな試みが、以後のTUBEにおいて『王道』と呼ばれていたりするからだ。
いわばこのアルバムは『TUBEはじめて物語』と言える気がする【爆】

 §ノッテけ‘92§
店主も実は聞いたことある、チラッとだけ。一緒に『Live Around Special ’92 夏だヨ!全員集合』のオープニング映像と一緒に。はい、あの宙吊り空中サーフィンです。
じつはあれがTUBEの野外名物・オープニングの前田氏登場パフォーマンスの始まりだったそうです。それ以後どんどんパワーアップしていき、
昨年の野外では前田氏だけでなく春畑・角野両氏も宙吊りになって空中サーフィンしてましたが。
もちろん野外の歴史だけでなく、この「TUBE×GSサウンド」というスタイルは『猛烈‘96』、『ノッテけテケテケ‘99』へとつながっていき、さらに『TUBEst?』では『SUMMER CITY』を元祖テケテケ、ザ・ワイルドワンズの島英二氏にアレンジしてもらっている。
んなとこからTUBEを「GS湘南サウンドの継承者」なんて評する声もあるが、GS−TUBEのラインはそれだけではない。
長年TUBEのディレクターを務めていた(もちろん『納涼』でもしてらっしゃる)小松久氏はかつてはヴィッレッジ・シンガーズのギタリスト。
NHKテキストに小松氏の名前があったので、ついつい立ち読みしてしまいました。
TUBEの名前ももちろんチラッと出てましたよ。

ということで、小松氏からもGS遺伝子を受け継いでたのかも。

 §夏だね§
なんか一曲目から長々と語ってしまいました。ふぅ。
ファンならずともおなじみのシングル曲。まさしくTUBEの王道。
『納涼』は結構濃い目の曲が多いので、かえって印象に残るかも。
ちなみに、店主の指す『王道』とはTUBEst?期の亜蘭・織田コンビよりむしろTUBEst?期、特にアルバムで言うと『浪漫の夏』でしょうか。
この辺のさわやか路線が店主にとってTUBEの王道です。

 §夏が咲く§
今やTUBEにとって欠かせない女歌ですが、実はまだまだ3曲目。
女性歌手が自分のことを「僕」といっている曲は結構ありますが、男性歌手の女歌はTUBE以外では演歌ぐらいでしょう。
ガラスのメモリーズ』や“女心ベタラテン三部作”など、TUBEの女歌は結構名曲ぞろいなので、いつか大黒摩季などBeingの女性歌手で『TUBE女歌トリビュートカバーアルバム』作ってくれないでしょうか、とひそかに企画しているのですが。
渚のオールスターズにBeingの後輩歌手も入るらしいし

 §ウルトラ・どぴーかん§
ウルトラバイオレットNo.1』に続く“ウルトラ”シリーズ第2作。シリーズとしては96年の『The Last of IKE-IKE〜最後のウルトラ』が文字通り最後になっちゃってますが。
でもこういうオーバーなサウンドはベタラテンやTUBE流テケテケサウンドのような“コスプレ系”の土台になっているはず。

 §だいじょうぶ§
ブルージーなバラード。前ソロには合った世界観だが、というのは手元のTUBE本の評。これが翌年には『My Little Superstar』につながっていくのだが、聞き比べるとやっぱり後者の方がこなれているというか。
TUBEサウンドの歴史はさまざまなジャンルに手を出してはそれをTUBE流にアレンジする、という繰り返しだと思う。そのいちばん顕著な例はいまや王道のラテン路線だ。
ラテンでもなんでも、最初に現れるときはそのジャンルの王道的な音で出してくる。ベタだ。いわば「音のコスプレ」だ。
TUBEのコスプレサウンドの典型は『情熱』だといえる。別にプロモがコスプレだったからではない。それ以前にもTUBEはさまざまなラテン系の曲を出してきたが、現地で触れた生ラテンが利いたのか、いきなりべったべたのスパニッシュ・ギターで直球勝負に出た。それ以後『純情』、そして一年置いて『Truth of Time』と“女心ベタラテン三部作”が続いたが、『Truth of Time』はベタといえるだろうか?むしろ、前者二つのベタなサウンドをうまくモノにしているのではないか。
コスプレとファッションの違いは着る人のキャラクターが出るかどうか、『Truth of Time』においてベタラテンはTUBEのファッションの一つになったと言える。
まだまだ『だいじょうぶ』はブルースのコスプレだ。しかし『My Little Superstar』ではファッションに一歩近づいてると思う。

 §Surfin’ in the Snow§
TUBEの中では異色も異色、バリバリの冬の歌である。
そもそものきっかけはMeetingでのファンの発案だったとか。TUBEの懐の深さが垣間見えるエピソードである。
しかし、曲調はきわめて王道的である。
昨年のアルバムレヴューで「王道の曲なら新味のある歌詞、新鮮な曲なら王道の詞」と訴えてましたが、13年も前にできてたんじゃない。
それでこそファンの耳に違和感なくすっと入るんです。

 §あの夏の少年§
前、ラジオで題名も知らずに聞いたことがある。やっぱりこの曲だったのか。
この辺になると王道で畳み掛けてきますね。

 §Ja・まいか§
この前後のTUBEのアルバムには、必ず一曲ご当地系というか
どこでジャケット撮影したのかがわかるような曲が入っている。
前作『湘南』なんてほぼ前編そんな感じだったし、『浪漫の夏』では『夢のフロリダ』がまさにそれだ。
なのでレゲエテイストもあくまで「ジャマイカらしさ」の域を出ていない。コスプレである。音がドレッドヘアのヅラかぶってる【笑】
TUBEのレゲエ調な曲はそれ以後『Yo Yo Yo』、『Long Vacation』、『夏のseaside road』(も入るのかな?)とあるが、あきらかに時代が進むにつれてレゲエである必然性が薄くなっている。つまり、「レゲエやるぞ!」と歌詞からアレンジから意気込んで作るのではなく、その曲の世界観をあらわすのに一番いいアレンジがレゲエだった、ということだ。「ファッションになる」というのはこういうことなんだろう。

 §あばよMy School Days§
これも季語は夏じゃない。日本だったら春、卒業の歌だ。
しかしTUBEにとって卒業ソングはこれ以後も『終わらない夢に』、『Myself Yourselfとある。この3つという数は決して少なくないということになるだろう。
そういえば欧米の場合は卒業式って6月なんだよね。梅雨ないからもちろん夏だし。

 §Teenage War§
そーいやハードロック系な曲が今までなかったなぁと思ったら出てきました。
しかし、ただのハードロックじゃない。
Aメロのフィルインなんかヘビーメタル入ってるけど、ガチガチというよりは
むしろ店主がここ数年のTUBEのロックナンバーで評価している「清涼感のあるロック」なのではないか。
特にサビあたりは『夢の翼ひろげて』を思い出してしまった。
なんでかと思ったらTUBE名物の“きらきらシンセ”、『夏だね』の前奏のアレです。あれが『納涼』ほぼ前編にわたって使われている。もちろん『teenage War』にも。それによって金属的な清涼感が得られているのではないかと。
TUBEロックは『傷だらけのHero』以降どんどん“熱さ”を増していくのだが
だったら店主がここ数年「新境地だ」と騒ぎ続けていたものは実は原点回帰だったのか・・・。

 §君となら§
Teenage War』の後いきなりピアノソロのイントロというのが面食らう。
これも実は初モノ、つまりTUBEの曲の中で“結婚”を正面切って扱ったのはこれが初めて。『明日への道』などそれっぽい曲は今まであったけれど。
それが今やTUBERの結婚式定番曲になっただけでなく、『今日からずっと』、『プロポーズ』とヴァリエーションを増やし続けてます。

と2006年の視点から見てみると、このアルバムでのチャレンジが後の“王道”へとつながっている例はいくらでも見受けられる。
店主としては『湘南』や『浪漫の夏』の方が実際好きだが、TUBE史【笑】を振り返る上では外せないアルバムなのではないか?

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