チーム『独立愚連隊(二人だけ)』の栄光
2006年5月5日 読書 コメント (1)
あっちこっちでいい評判のこのミステリー、
図書館に入ると町の広報誌で知って小躍りしましたっけ。
『このミス』大賞は当たり外れが少ないです。
ちなみに母は『チームバチスタ』と聞いて『医龍』の関連本と勘違いしてましたが【爆】
さて、この小説の一番の魅力は
巻末の選評でもありましたがキャラの立ち具合。
現役勤務医が書いただけあって現場の描写は専門用語が飛び交い
門外漢の店主にはちんぷんかんぷんなほどリアルでしたが
登場人物はむしろマンガ的というか判りやすいほど類型化されており
かといって決して陳腐に陥ってない(このへん重要)
特に店主が一番惹かれたのが当初の探偵役の田口講師。
彼は40過ぎの『万年講師』として大学病院内の政治闘争から一線を画した
いわば組織内アウトロー=店主の萌えツボ。
そして「不定愁訴外来」主任、つまりグチ聞きのプロ。
しかし、なぜ敢えて“当初の”探偵役と言ったかというと
ここポイント、探偵役が前後半で交代します。
後半の探偵役は厚生労働省の技官・白鳥。
彼のポジションも官僚組織内のアウトローですが
よく言えば無欲、悪く言えば事なかれな田口とは違うのは
彼がかなりの変人であるところ。
ひたすらパッシブに当事者の心の臆面を探る田口とは正反対に
自ら嫌われ者を演じても更にその奥の奥をさらけ出させる白鳥。
白鳥の登場後は大学病院内では変わり者の田口がまともに見えるくらい。
つまりはホームズがワトソンになってしまうというのがこの小説の一番のポイント。
ある意味好対照な名コンビかもしれない。
『空中ブランコ』などのドクター伊良部登場後、あるいみエンタメ界の定番となってしまった感のある『変人キャラ』ですが
ホームズだって「元祖!名探偵」の看板を外してしまえば極めつけの変人ですからね。
文芸ミステリにおいて探偵というのは変化することのないキャラクターだといえる。
あくまで傍観者であり、事件の前後で何らかの変化を遂げることはない。
特にシリーズ物のミステリーではその傾向が顕著だ。
ドラマでしか浅見光彦シリーズを見たことのなかった店主が原作を読んで
浅見の印象の薄さに驚いたことがある。
ドラマではあくまで探偵の視線で推理は進んでいくが
小説の場合、視線はむしろ事件に巻き込まれた、いわばゲストキャラに寄り添っている。
これがミステリーというメディアを横断するジャンルでの活字と映像の大きな違いだ。
マンガやライトノベルの場合は、むしろ映像メディアに影響を受けているので
探偵役を語り手に据えることもできるのだが。
『チーム・バチスタの栄光』では田口は当初そのような類型的な探偵と見なされていた。事件が解決しても決して変化することはない、
今までどおり不定愁訴外来で患者のグチを聞き続けるのだと。
しかし事件が解決を迎えたあと、彼はむしろ調査を通して手に入れた『切り札』を武器に権力を目指すのも悪くない、とも思うようになる。
選評の中には「白鳥を主人公にシリーズ化を」と望む声もあったようだが
店主としてはむしろこの魅力的な万年講師、田口公平の今後も見てみたいような気がするのだが。
今まで波立つことのない水面のようだった彼の心に一石が投じられたあとの、彼の変化を見てみたい。
はっきり言ってそれは最近流行りの『変人』より、店主の心をざわつかせるものだから。
図書館に入ると町の広報誌で知って小躍りしましたっけ。
『このミス』大賞は当たり外れが少ないです。
ちなみに母は『チームバチスタ』と聞いて『医龍』の関連本と勘違いしてましたが【爆】
さて、この小説の一番の魅力は
巻末の選評でもありましたがキャラの立ち具合。
現役勤務医が書いただけあって現場の描写は専門用語が飛び交い
門外漢の店主にはちんぷんかんぷんなほどリアルでしたが
登場人物はむしろマンガ的というか判りやすいほど類型化されており
かといって決して陳腐に陥ってない(このへん重要)
特に店主が一番惹かれたのが当初の探偵役の田口講師。
彼は40過ぎの『万年講師』として大学病院内の政治闘争から一線を画した
いわば組織内アウトロー=店主の萌えツボ。
そして「不定愁訴外来」主任、つまりグチ聞きのプロ。
しかし、なぜ敢えて“当初の”探偵役と言ったかというと
ここポイント、探偵役が前後半で交代します。
後半の探偵役は厚生労働省の技官・白鳥。
彼のポジションも官僚組織内のアウトローですが
よく言えば無欲、悪く言えば事なかれな田口とは違うのは
彼がかなりの変人であるところ。
ひたすらパッシブに当事者の心の臆面を探る田口とは正反対に
自ら嫌われ者を演じても更にその奥の奥をさらけ出させる白鳥。
白鳥の登場後は大学病院内では変わり者の田口がまともに見えるくらい。
つまりはホームズがワトソンになってしまうというのがこの小説の一番のポイント。
ある意味好対照な名コンビかもしれない。
『空中ブランコ』などのドクター伊良部登場後、あるいみエンタメ界の定番となってしまった感のある『変人キャラ』ですが
ホームズだって「元祖!名探偵」の看板を外してしまえば極めつけの変人ですからね。
文芸ミステリにおいて探偵というのは変化することのないキャラクターだといえる。
あくまで傍観者であり、事件の前後で何らかの変化を遂げることはない。
特にシリーズ物のミステリーではその傾向が顕著だ。
ドラマでしか浅見光彦シリーズを見たことのなかった店主が原作を読んで
浅見の印象の薄さに驚いたことがある。
ドラマではあくまで探偵の視線で推理は進んでいくが
小説の場合、視線はむしろ事件に巻き込まれた、いわばゲストキャラに寄り添っている。
これがミステリーというメディアを横断するジャンルでの活字と映像の大きな違いだ。
マンガやライトノベルの場合は、むしろ映像メディアに影響を受けているので
探偵役を語り手に据えることもできるのだが。
『チーム・バチスタの栄光』では田口は当初そのような類型的な探偵と見なされていた。事件が解決しても決して変化することはない、
今までどおり不定愁訴外来で患者のグチを聞き続けるのだと。
しかし事件が解決を迎えたあと、彼はむしろ調査を通して手に入れた『切り札』を武器に権力を目指すのも悪くない、とも思うようになる。
選評の中には「白鳥を主人公にシリーズ化を」と望む声もあったようだが
店主としてはむしろこの魅力的な万年講師、田口公平の今後も見てみたいような気がするのだが。
今まで波立つことのない水面のようだった彼の心に一石が投じられたあとの、彼の変化を見てみたい。
はっきり言ってそれは最近流行りの『変人』より、店主の心をざわつかせるものだから。
コメント
お題小説書いてみましたが、あちこちボロがありありなので
そのうちほとぼりが冷めたら書き直さなくては。
リニューアル前にご挨拶も兼ねて献上したいので。